東京で美術の企画展めぐりをしていたら
どれも、自分の心には
ささらないものだった。
まあ、こんなこともあるよな・・・と人気のない
常設展を見にいったら、古典作品のなかに
じっとみていたい光を感じるものがあった。
ほっとした光。
奇をてらっていない光。
草むらや木陰にあふれる、朝方の木漏れ日。
ああ、人間って、
こんなにいろんなものの
見方ができるんだなあ。
そんなふうに思って、
しばらくじっと、眺めていた。
企画展のほうは、論理的にも考えられていて
ものすごく計算された組み合わせの絵だった。
奇妙だったりシュールだったり。
人間の滑稽さや怖さも感じるような。
反対に、この光の絵は、とっても素朴で
この世にはこんなにきれいなものがあるんだよって
教えてくれるような絵。
世界はひとつなのに、
暗かったり明るかったり
グロテスクだったり清らかだったり、
どちらもあるのがこの世なのだろう。
どっちがいいとか悪いとか
優れてるとかそうでないとか
そういうことはどうでもよくて、
ただ、それらを選り好みできないなかで
両方と触れ合っていくこと、
そして自分はそんななかでも、
美しい景色を見られるようでいたいこと。
この世に生きていることの可能性をみせてくれる、
そんな美術展巡りだなあって思った。
・・・
美術館に行くと、なにかがとても
受容され、交換され、そして浄化されていく。
感情だったり、感性だったり、
そういうものを持って描かれたものだからかな。
画家とおしゃべりして、静かに佇んで・・・
いろいろな感情が、
吸収されて、ぶつかって、溶け合って、
落ち着くところに落ち着く。
・・・
誰といても、
好きなことをしていてもいなくても
結婚していてもしなくても
ひとはみんな孤独だ。
だからこそ、
自分自身で「孤独を甘やかす」ことが大事だと、
最近読んだ本に書いてあった。
例えば、自分のためにおしゃれをする。
楽しいものに触れる。
美しいものをみる。人と会う。
気になったものを研究する。
そうすると、いつしか少しずつ
孤独がともだちになってゆく。
わたしにとってはきっと、
こうして絵と向き合っているときが
そういう時間なんだろうな。
そんなこと考えながら、
歩き疲れた足を一歩、前に運んだら、
梅雨の晴れ間に、光が見えた。
■今日の質問
あなたにとって、孤独を甘やかす時間は、どんなとき?
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