ドライなことを褒められた日
「あんなほんわかイラスト描いてるし、移住者のサポートもしてるって知ってたから、きっと”こんにちは〜ニコニコ!”みたいなハートフルな人が来るのかと思ったら、実際のけいこさんはかなりドライで。そこが逆に安心できたんだよね(笑)」
この間、移住して数ヶ月のお友達に言われた。
なるほど〜。ドライなことに安心感を持ってくれる人もいるのか・・・!というのが発見だった。確かに、わたしはイラストの印象や、やってることの印象よりもサバサバしてるとよく言われる。
どっちかというと、ねち〜、じめーっとしたことや、ハートフルでアツすぎるようなことが、苦手。あと、自分があまりにも、誰かを思って打ち込みすぎて、その人に気を使わせるのもイヤ。
だから、「ドライだけどあったかい人」になりたいなあと思う。
移住サポートをしている、全国の地域の方にお会いすることがあるけれど、その時に結構な割合で相談されるのは、「至れり尽くせり、かなりハートフルにエネルギーを注いで支援してきた移住者が、数年経って、他の地域に出て行ってしまった時のガッカリ感」についてである。
「やっぱり、それだけエネルギーをかけたからって期待しすぎなのかしら」
「わたしのやり方が、悪かったのかしら」
「でもあれだけしてあげたのに、出て行くほうも悪いよね」
「もう移住者のお世話はしない!」
・・・
などなど。
まあ、その気持ちはわかる。きっとすごく、寄り添って、寄り添いすぎたんだろう。
嬉しいものね。新しい人が地域を好きになって、入ってきてくれるのって。できる限り、応援したくなる。応援したぶんだけ、関わったぶんだけ、いなくなったら寂しいよね。
でも、人はやっぱり自由。数年経って出て行くというのは、そこがあってなかったんだろう、とある程度ドライに感じ取るのも大切なことだ。
わたしもこの10年間でたくさん相談にものったし、サポートもして、最初は思いが強いだけにガッカリ感が強かった。だけど、たくさんの移住者の出入りを見ていて、もはやガッカリしなくなった。
移住者が自分から何かを相談しに来たら、それは聞くし、対応方法も提案する。観察していて「あ、今危ういな」と何かしら察知したときは、こちらから、「最近どう?」とたずねることもあるけれど、それ以上あまり入ることはない。
手取り足取りのサポートは毒にもなる
あまりにどっぷりサポートしすぎると、それが相手にとって、当然のことになってゆき、ありがたみもなにもなくなってくる。むしろ「あれはないんですか、もっとこうしてほしい」と依存的になってゆく。
もしくは、あまりにも親切に、手取り足取り、いっぱいしてもらいすぎて、プレッシャーを感じてしまう人もいる。
子育てでもそうだけど、ある程度冷静に観察しながら、見守っていくことが大事。
手取り足取り手伝いすぎて、自立できなくなったら、その子のためにもならない。移住者の当事者意識として、「あくまで主体は自分」「その地域に関わっていくのも自分から」という意識を持って生きてもらうために、距離感は必要だ。
これは、ほんと、移住でも、子育てでも、仕事でも、なんでもそうなのかも。
育てる、ということは、的確な厳しさと、的確なあたたかさが重要だから。
地域のキーパーソンは、物事が勝手に生まれるのを喜べるか
10年前から仲間や夫と移住支援をしてきたけれど、最近は、全員の移住者を把握しているわけでもなくなってきた。そして、移住してきた人が、わたしの知らないところで、イベントを興したり、楽しい何かを企画したり、店をはじめたり・・・という広がりも出てきた。
この、「わたしの知らないところで」というのが生まれてきたのが、うれしい。いや、もちろん「今度こういうのするんですよ!」って報告してくれたらうれしいけれど、みんなが自分で動いて、自分たちで楽しいことを作っていってるってことだから。どんどん勝手に広がっていってほしい。
逆に言うと、この部分を、地域のキーパーソンが手放せないと、地域はダメになっていく。礼儀や義理はものすごく大切なものだけど、これもあまりにキツすぎると、固まってしまう。
地域で新しい活動をしようとしても、「あの人の顔をたてないと」「あの人にひとこと言わないと」に縛られて、身動きがとれなくなる若者グループの話は、全国でよく聞く。
だから、地域のキーパーソンの方は、見守りつつ、手放している。それくらいの姿勢でいてあげてね。
さめてる
「さめてる」というと、「冷たい」のさめてるを思い浮かべがち。
でも、わたしは「覚めてる」でいたい。
現実に、目覚めてる。観察している。
目覚めた目で見ながら、的確に、見守る。
放置でも、熱を上げすぎるでもなく。
ああでも、ほんと、冷たい人にはなりたくないなあ。
ドライだけどひんやりしてない、あったかい人ではいたい。
そして、あったかいけどアツすぎず、適温で。
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