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沖縄という場所



気だるいのに、暑さが嫌いなのに、それをしのぐくらい鮮やかな植物につられて、行ってしまう場所。

それが、わたしにとって沖縄かもしれない。出張のため、欠航になりそうだった飛行機に運良く乗った。うとうとしながら翼の王国を読んでいたら、あっという間に沖縄の海が見えた。キラキラ。海の色も、土の色も、なんでこんなに違うんだろう。

空港へ降り立ったとたん、むおっと暑い空気がやってくる。「まだ沖縄も寒いんで、羽織るものもってきたほうがいいよ」と沖縄の知人に教えてもらっていたので、重装備でやってきたけど、相当暑いぞ。Tシャツ持ってこればよかったーと思いながら、小走りで那覇のバス停へ向かう。日差しがまぶしい。高知もたいがい強い日差しだけれど、その5倍くらいまぶしい。

白い服を着たおばさんが、赤くて大きな花が咲いている木の影でバスを待ってる。わたしは入る影がなかったので、暑い空間にそのまま立っていた。気だるくなってくる。この気だるさが、苦手でもあり、沖縄って感じもする。

バスに乗りこんで「このバス、新城(しんじょう)に行きますか?」と運転手さんに尋ねると、「えーっと、ああ、アラグスクね!いくよ」と教えてくれた。そっか、そういう読み方をするのだね。なんかかっこいいぞ・・・。
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バスを降りてみると、海が見えた。元米軍基地の目の前に、カフェユニゾンはあった。ここを目指してきたんだよ。

こちらのオーナーでもあり、作本家の三枝克之さんがにこっと笑って迎えてくれた。三枝さんが企画編集され100万部のベストセラーになった本。他にもたくさんの本を企画されている。

高橋 健司
角川書店
1999-12-10


宙の名前 新訂版
林 完次
角川書店(角川グループパブリッシング)
2010-07-01



以前、わたしの本が出た時に、編集者の村松美賀子さんが、三枝さんを紹介してくれた。それからこのインタビューに感銘を受けたり、本のやりとりにも一つ一つ心が入っている様子に、真摯な方だなあと思っていた。

今回、実物の三枝さんとお会いして、たくさん感じるところがあった。ただ、今現在、沖縄に圧倒されて、何も言えない状態になってるので、ひとつだけ胸に残ったことを、書いてみようと思う。




「自分が持っている材料、素材、表現や、相手との関係性を、切り売りしないこと」



以前は広く、たくさんの人に見てもらうことが大事だと思っていた部分があった。
だけど、そうでもないことに気がついた。みんなが言う意味でのメディアと、わたしに必要な メディアは違うということ。エモいのはいいけど、それだけじゃ確実に消費されるということ。


長い時間、表現しながら生きるために、わたしは、相手や自分を消費しないやり方がしたい


そのためには?


やっぱり「編集」という考え方が必要なんだろうなって、三枝さんの話を聞きながら思った。
ここでいう編集は、一般的な「本の編集」「文章の編集」よりも、もっと広義の意味ね。


三枝さんとは、カフェの経営も、本の編集も、似ているね・・・という話をした。どちらも、経営的な部分と、表現の両立が必要だ。だから、経営面においても美しい編集がいる。

さらに面白かったのは、三枝さんは、作家さんを取材したとすれば、それで終わらせずに、自分の持ってるカフェでもその作り手の商品を扱うことがある。これ、わたしの場合だと、例えば自分の講座で組むのと似てる。

その先には、「生身の目の前の人を、大切にしたい」という思いがある。

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例えばライターのお仕事をする場合でも、取材させてもらって終了ではなく、連続していくものに編集していく。毎日の連なりが人生になってゆくように、人との関係性の連なりが、大きな道になっていくように。

描く作品や、参加者さんとつくりあげてゆく講座が、新しい道につながるように。
そして、二次元で終わらせずに、三次元につなげていくように。
 

「一つ一つの出来事を、一過性で終わらせずに、動きや生き方とつなげていくのが大事だと思ってます」三枝さんは、小さな声でぽそっと言う。素朴な口調なのに、そこには実態があって、適切な重さがある。

焦って食い気味に話しかけていた自分が恥ずかしくなってしまうくらいに。

大切にしたいし、大切にされたい



滞在中、沖縄のクリエイターさんたちとも飲みにいった。みんな一線で活躍されているデザイナー・アートディレクターさんたちだったけど、「ほんとうに一般人なのか?」というくらい話芸が面白くて、久しぶりに笑い転げてしまった。彼らの話しを聞いていると、遊び方が豊かだなあと思った。


 沖縄には、「困ってる人は助ける」という昔ながらの精神が根付いているらしい。そういう「長い目で、大切にする」という余裕みたいなものが、都市の脈略では切り落とされすぎてる。そして「なんだか足りない」とうっすら思ってるものを探しに、地方に来るように感じる。失ったパーツを、取り戻すかのように。

ほんとうは、誰も消費したくないのかもしれない。消費されたくないのかもしれない。大切にされたいし、大切にしたいのだ。



生きることも編集


 

消費ではない形に落とし込むこと。これは、言うのは簡単だけど、注意深く意識していかないとできないよね。ビジネスも人との関わりも、表現も、もっと優しく愛おしむために、適切な形を見つけてゆくこと。すり減り、焦らないために、豊かさを作ること。

わたしが今回確認したのは、この3つ。


・表現物を切り売りしない形にする

・ 継続性がある、質の高い商売の形にする

・人との関係性を一過性で終わらせない


世間のプラットホームに乗ることが、イコール自分の仕事ではない。人が良いと言う形が、自分にとって良いものではない。大事なのは、
分なりの編集を施すこと。


人に流されないこと。

目的を忘れないこと。

選択を怠らないこと。


何を指標に?というと、自分の生き方を指標に。
表現も、ビジネスも、生き方も、やっぱりぜんぶ編集だから。



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