憧れはねじれると、妄想になる。

ガチャッ。白くて重いドアが開いて、思ったより広いフロアが見えた。
「とかいのマンションってどんなんやが?」
興味を持っていた息子を連れて、九州に仕事旅へ。Airbnbで、博多の中心地にあるマンションを借りて数日滞在してみた。
息子は、「これがマンションかあ」と、珍しいマンションを眺め「コンビニが近いのと、スーパーファミコンがあるのがいいところやね」と言う。一方で、いつもの田舎の家のように広いフロアで伸び伸び遊んだり、好きに歌を歌ったり、踊ったりできないので、ちょっとしょんぼりしてる。

息子を連れて全国各地へ行く。年齢によっても変わってくるのだろうけど、いろいろな土地で、それぞれの良さも悪さも、人の暮らしも働き方も感じ取っていく。将来どこでどんな風に暮らしてくれてもいいけれど、自分自身で判断するときの材料にしてね。
万年中二病
田舎暮らしにしろ、都会暮らしにしろ、「あそこで住んでみたいな」と憧れを持つ気持ち、あるよね。ただ、妄想を長年寝かしすぎて、人生後半になって実現させると「あれ、思ってたのと、違った!」と気がついた時、万年中二病になる可能性が高いと思うんだ。
自分の選択に目をつむったまま、「あの人がこういったから」とか「この土地が悪いから」と何かのせいにしたり、人生をやり過ごしたくなる。だから、早めにいろんなことに挑戦してみる、いろんなところで暮らしてみるのをおすすめする。軌道修正しやすいから。
「元彼反動のような幻想」

田舎の子で、よく見るのは「とにかく田舎から早く出たい!」という子。排他的、プライベート感がなし、息苦しい内輪感が嫌い、仕事もつきたいのがない、とにかくこんな田舎出て行きたい!と。
そう思うのは、よくわかるんだよ~。出てみればいい。でも、ちょっと何でもかんでも、田舎のせいにしすぎな場合もある。そして、「都会に行けば全てが解決される」っていうのも幻想だよなと、都会出身のわたしは思う。
外に出るのは、客観的に田舎を見れて良いと思うのだけど、あまりにも反動がキツく、妄想が大きいと、大丈夫かなって心配になるよ。
そうそう、こないだ、こんな本を献本いただいたんだけど、元彼の反動で次の彼氏を選んでしまうってところ、住む場所にも通じるなって思ったよ。
これ読んで連想したんだけど、例えば、元彼が超肉食系で、ぐいぐいくる人だったとする。ちょっと疲れてしまったから、次の彼氏は草食系で薄味・・・。そういう選択をするのはいいけど、それって、ほんとに自分の好みか?というと、そうでもない。反動は、本当の好きではない。反動で選ぶと、ちょっとずれちゃう。
この現象は、夢の田舎暮らしにしろ、都会暮らしにしろ、同じことだと思うんだ。
両方知ってて見極めるフラットな目。見落としがちなこと
だから「中学生くらいで、都市と交換留学できたり、海外留学できるといいよね」という話を、教育関係の方としたの。早い段階で都会生活も経験できると、田舎に対して、もう少しだけ距離のある視点で見れると思う。
大学とか、社会人で「やっと外に出ましたー!」というと、ちょっと遅い気もする。早めに体験して、冷静に田舎・都会のいいとこ・悪いとこ両面見れたら、自分にとってしっくりくる場所を見極める目は違ってくるんじゃないかなあ。
だけど、その上で、何を目指していくのか?自分の人生を「どこで、どんな風に、だれと、何をして過ごすのか?」そこについての視野の広さや、体感は持たないまま、大人になってもぼんやりしてる人が多い。
そう、選択肢が多いことはいいけれど、一方で、両方知ってて、その上で見極めるフラットな目を育てること。能力が高いのは大事なことだけど、じゃあそもそもその能力をどこで発揮して生かすのか?選ぶこと。これは見落としがちだけれど、大事なこと。
サバイバルのための、素材を知ること。
小さい時から、様々な暮らし方・働き方の人たちと出会わせたらどうかな?ポイントは、「生きる力がある」人。
それは、お金を稼ぐという意味でもいいし、自然の中で生きる自給的サバイバル能力があり、お金はなくても生きてける、というのでも良い。とにかくこれからの時代は、今ある仕事がなくなったりと、変化が大きいので、その中でサバイバルしていく力をいかにつけるか?が重要。
つまり、住むところにしろ、働き方にしろ、「素材を知ること」が大事。お肉と思って使ったら、実は卵だった!となると、おいしさも、料理の種類も、変わってしまうから。自分好みの、おいしい料理を作るためには、素材をよく知っていることが前提になる。
「どこでどんな風に暮らしたいか?」もうちょっとみんな自由に、デザインすればいいんじゃないかな。そして、デザインするためには素材を知ることが必要。
最後に。肌感覚で感じとる
わたしは、今都会に行くと空調が一定だからか、なぜか肌がつるつるになる(笑)でも、数日経つと山に会いたくなってたまらなくなる。まるで、野菜不足の人みたいに、山不足に。行ったり来たりして、通気性はよくしながらも、田舎にベースを置くのが今のバランス。
こういうことは、頭より肌感覚で知ること、と思う。
そこはどんな匂いがする?
どんな音がする?
どんな手触りがする?
どんな風景、どんな人、どんな仕事や暮らしがあるの?
現地へ行って、感じ取ってみて。
子どもには、早めにいろいろな場所の暮らしを経験させてみよう。それは、完璧ではないにしろ、できるだけフラットに「選択する目」を持つことにつながる。
大人になってからも、まずは否定せずに、いろいろな場所の暮らしを体感してみて。それは、違う場所で違う暮らしを選択する、わたしとあなたが、お互いに敬意を持って暮らすことにもつながると思うんだ。
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