福岡へ向かう途中、夜遅くに尾道に着いた。
待ってくれていた旅館の人にすすめられ、なぜか温泉の男湯に入る。「もう、誰もいないから大丈夫!せっかくだから、こっち入りなよ」と。おばちゃん・・・すごい配慮。
ちょっとしょっぱい温泉。ほわほわ、しんしんと、体の奥からあったまってくる。寒い夜で冷え切っていたから、血がもう一回巡るような感覚に助けられた。温泉は、ひなびてるほうがいいな・・・そう思う。
人生はじめての出来事だったけど、「男湯かあ」という意識を持つだけで、珍しげに眺めている自分に気がつくのは楽しかった。実際は、女湯となんの変わりもなかったんだけどね。なんとなく得した気分にはなれたよ。
3分のフェリーに乗って、尾道へ
そんな奇妙な夜が明け、”ぽー・・ぽー・・・”朝起きたら、船の音がした。カーテンを開けたら、青い空とたくさんの光が入ってくる。よかった、今日は晴れ。日本でも最短かと思えるくらい短いフェリーに乗って3分で尾道にたどり着く。
尾道の商店街をしばらく歩いて、
細い小道がいっぱい。
朝市で黒米おはぎを買った。
その後、山の上にある「ネコのテパン工場」に向かう。
同じ街でも、「このエリアはなんとも感じないっていう場所」と、「このエリアは、ドキドキして、写真を思わずとりたくなる」そんな場所に分かれる。そのひみつってどこにあるんだろう?そんなことを考えながら、どんどん坂を登る。
小さな小さな道を歩いてく。
どうやってこんな場所に建物をたてたんだろうね。
心をくすぐられる家々。パンの香りがただよう、ネコの小道。
こんなに坂なのに、おばあさんはガラガラを押しながら休み休み歩いてる。会う人会う人が、「こんにちは」ってことばを交わす。わたしも、そんな仲間に入れてくれる。
ネコのテパン工場は、一人ずつしか入れないので、オーナーの永井さんの音楽を聴きながら待つことができる。
一畳の売り場。焼きたてのパン。小窓から店員さんに受け渡し。
最近は、都市で滞在することが多かった。それはそれで、フラットな感じが心地よいところはある。でも、滞在が長いと、何かに飢えてくる感覚を覚える。
「山に会いたい~!」って切実に思ったり、「緑が食べたい」くらい恋しくなったり・・・でも、それだけでないことが今日わかった。
この、洗濯物が干してある感じ・・・これなんだよなあ。
雑多な街角に、不思議な建て方をした、ひとつひとつ個性的な建物が浮いている。しかも、全体としては調和している、不思議な島のような、この空間。
そうか、わたしは、人の生活のにおいがするところが好きなんだ。人の営みが見える街。くねくねの細い小道。効率からはかけ離れた、そういう場所に安心する。
そんなことに気がついた今日。
山を登るだけじゃ、時々疲れてしまうこともあるけれど、こうやって、人の営みを感じながらだと疲れない。懐かしくて、ホッとした気持ちを抱えながら、次の景色を見たくて、わくわくしながら登ってゆける。
街だけじゃなく、いつもそんな風に歩いていたいな。
尾道、いい街だね。
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