子供は五右衛門風呂・親はユニットバス

涙がぽとぽと出る。
携帯がなるので、珍しくすぐに出た。
「もしもし、お父さんが・・・」と話すのは、大阪の母だった。
父親が体調を崩し、少し入院することになった。「とはいっても、命に別条はないし、すぐ帰らなくても大丈夫。仕事が落ち着いたらでいいよ」と母は言う。
いつも気楽にしてるわたしは、お正月や夏休み、イベントのときに実家に帰る。
まだ親は60代だし、元気そうだから。
田舎より都会が好きそうだから。
周りに親戚も友達も、便利なお店もみんなそろってるから。
とはいえ、移住者の場合、都会においてきた親の問題は付いて回る。
わたしたちの世代は、親が都会でバブリーな暮らしをしている中で育ったから、そこで手に入らなかったものを欲しがる。自然の中でわざわざ不便な暮らしをしたり、ね。親はそれが謎すぎて理解できない。子供は五右衛門風呂が良くて、親はユニットバス、みたいな感じ(笑)あらゆる価値観が少しずつ違う親と子。
どっちがいいとか悪いとかじゃないんだけど、親は、田舎に来ればストレスの方が大きいだろうなあ。都会には楽しみも愛着も、長年親しんできた人もいっぱいいるし。70代で娘のところへ引っ越して、急に環境を変えたことから孤立してしまい、ガクッときてたちまち弱った。そんな話をよく聞くから、可能な限り元気でいられる場所でいてほしい。
不利を有利に変えるキャリア
わたしは一人っ子なので、あと10年後くらいかな・・・介護のことを考えなければいけなくなるのだろう。そうなったとき、最善策はなにか?
わたしができることといえば、若いうちに生活の基盤をしっかり作って、高知~関西を移動しながらできる仕事を作ること。二拠点居住はできるように、そう思ってきた。 親が楽しく元気でいれらる暮らしと、自分が楽しく元気でいられる暮らしを両立させていくために。
だから、今のうちにしっかりと仕事に打ち込んで、自分がいるところが仕事場になるように形作っていかなくちゃって。
24歳で究極の田舎に移住して、母になり、一般的な会社でも働いたことのないまま、起業して今までやってきた。なんとかなってきたのも奇跡だけど、いつも、足りないながらも小さな頭で、精一杯考えてきたつもり。
したいこと・求められてること・自分の性質・「移動可能」などの条件を掛け合わせて。
世の中的に見ると、今わたしがいる状況は不利だから、山奥から「不利を有利に変える自分なりのキャリア」を作ろうとしてきた。ここについては、またお話ししようと思う。
親が一番嬉しいことって?
あ~、あと10年くらい待ってくれたらなんとかなりそうなんだけどなあ。いや、がんばれば3年でもいけるかも。お、今だいぶ短縮したぞ?
子供が生まれた時もそうだったけど、「この子を育てていくために」が前提となると、自分が作り出そうとする経済のキャパはずいぶん広がる。大切な人はいつも、自分の限界を外してくれるのかもしれない。ちょっと泣そうになりながら、目の前にある仕事をして、どこかで親のことを思う。
「でもね、けいこちゃん。親は子供が元気で幸せだったら、それが一番嬉しいんだよ」
よく言われてきた言葉。わたし自身親になってみて、いつも思っている言葉。子供には自分のために犠牲になってほしくないし、自分の人生を楽しんでほしい。たとえ理解できなくても、元気で幸せでいてくれるのが一番嬉しい。息子に与えたぶん、わたしに返そうなんて思わなくていいから、世の中の人に違う形で返してほしい。親子関係は、取引じゃないのだから。
いつもはお互いに、なんか噛み合わなかったり、ケンカしたりしてるのに、こういうときはやっぱり、喉の奥に魚のホネが刺さってとれないような感覚になる。家族って、すれ違いもするけど、それを超える関係性でもあるんだろうなあ。 親からすれば、奔放でどうしようもない娘だけど、こんな娘でも親のことをやっぱり愛しているらしい。
あの鉛筆

そういえば、親に与えてもらったものの中で、一番嬉しかったのは「デッサン用の鉛筆」。わたしが高校生の時「本格的に絵を勉強したい」と交渉して、最初は反対されたけど、アトリエに通わせてもらえるようになったときのこと。
画材屋さんで 「せっかくやから、この一番いいのを使いなさい」と父は言って、とびきりの鉛筆を揃えてくれた。
大阪に最短で帰れるのは、東京で仕事したあと。ちょうど、わたしの誕生日になりそうだ。それまで、出会う人、仕事に一つ一つ心を置いて、大切に向き合っていこうと思う。
最後に、質問。
自分が楽しくいられて、大切な人も楽しくいられる。そんな働き方、どうしたら作れるかな?
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