京都から高知の嶺北エリアへ移住して9年。最近は「地域創生」の流れで「移住」もトレンドみたいになり、地方に住んでる友達から、こんな話を聞くことも出てきました。
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ふむー。なるほどなあ。最近は、大企業が地域創生の事業に関わるようになり、移住促進グッズも洗練され、動画も面白いものが話題になる・・・そんなことが増えてきました。今までぜーんぜん振り向いてもらえなかったのが、ちょっとは立ち止まって「どんな地域だろう?」と見てもらえるようになる。それはとても大事なことだと思います。


ただ、それだけが先行しちゃって、地域の地盤が伴ってなさすぎると、このような問題が起こりがち。これはメディアもそうですね。まずは知ってもらうことが大事だけど、外側に伝える内容があまりにもかけ離れすぎていると、ちょっと・・・ということになります。地道に整備してきた地域なら、そこに情報が乗っかると、いい感じで相乗効果も起こりやすいのですが。

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◾️当事者感覚が生む、血の通った情報



もちろん、すべての人が「間違いなく、ここは情報と内実の差異がない」と思うことは不可能。どんな立場でどんな視点から見るか?で感じ方は変わってくるから。例えば、移住者を受け入れたいと思う地域の人もいれば、受け入れるのはいやだと感じる人もいて、100%全員が賛成し、「うちの地域はどこの誰から見ても最高です!!移住者も最高です!!」となることはないでしょう。


また、メディアの情報を一生懸命書いたとしても、ペラいと感じる人・深いと感じる人、内実と乖離していると思う人・しっくり来る人、色々います。


どんな表現も自由であるべきで、自分が実感として感じたなら、人に媚びずに書けば良い。正しいとか正しくないとかじゃなく、様々な視点で描かれることにより、助かる人がいます。ただ、一方で副作用は少ないほうがいい。


じゃあ、どうするか?やっぱりわたしは、少なからずメディアやデザイン側に「地域の内側から実感を持って、外側に発信する人がいること」が大事だと思っています。できれば、外の目を持ってね。その情報は、離れた場所から見て、いい情報だけポコっと載せちゃうのとは全く違う。


当事者になると、キラキラした理想生活だけでも、客観的すぎて温度がない情報だけでもなく、そこで起こる悩みも、闇も、いろんなことが肌感覚として刻まれます。その上で、外側に伝えていく。それはとても大事な姿勢。その情報には目に見えなくても、何層にもなったものが入る。たとえつたない文章であっても、偏っていたとしても、血が通った良さが出てきます。

◾️上っ面だけすくいとるのはNG



あ、でもね。離れた場所から、書くことや関わること。それ自体にはいい面もあるんですよ。地域の人たちと調和しないとという気持ちが少ないぶん、書きにくいことが減るし、ピリッとした辛辣なこともかける。そこには的を得た、大切な情報もありますし、地域へのいい起爆剤になることもあります。


情報を扱うものとして大切にしたいのは、地域の地盤を作ってこられた方々への敬意。例えば、今移住者が増え盛り上がってきている地域には、10年位前から地道に頑張ってこられた方々がいて、やっと今、その芽が出ているところなんです。


それを単に「今、情報的に”移住”が旬だから!」というだけで、上っ面だけすくいとるようなメディアには、表面的すぎるものもある。デザインだって、そう。極論や、いいところだけ、悪いところだけ。一面だけをバッサリ切りたいだけ。それで、現実と乖離が起こってきたとき、起こる弊害があります。

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◾️半歩先の手に届く距離で切磋琢磨する、情報と地域



地域の情報をちゃんと書きたいなら、どんな立場からでも、内側で頑張っている人とコミュニケーションをとってほしい。彼らがいかに泥臭い作業をしているか見てほしい。賛成、反対の意見にさらされ、時に罵倒され時に喜ばれ、それでもコミュニティを耕してやっと豊かな大地にしてきた人たちをちゃんと感じてほしい。


せめて1週間くらい滞在しつつ、その地域で過ごしながら、いろんな人と飲んで話すとかね。切り取られた情報ではなく、時間の中に実情はありますよ。


別に、都会のメディアでもいいんですよ。地域にいるブロガーでも個人メディアでもなんでもいい。ただ、内側と外側がしっかりつながり連動しながら、絶妙なバランスで進んでゆく。そういう体制を作れるといいですよね。


情報と内実。どちらかが、半歩先に行くのは常。でもその半歩先を、もう片方が頑張って追う、そしてまた追い越す。二つが手の届く距離感で、つながりながら切磋琢磨できる地域は、どんどんスピードを増して良くなってゆくと思います。



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