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久しぶりに、結城琴乃さんに会った。彼女は、全国的に活躍している作家さん。今日は彼女の作品と一緒に。


誰もが憧れる「クラフトフェアまつもと」には5回も出ていて前回はとうとう招待作家にまでなったというし、最近はあの手紙舎さんでの展覧会。毎月どこかしらで開催されている展覧会への精力的な出展。ここ数年で飛躍的に伸びている新進気鋭のアーティスト。

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(画像出典http://kotono1218.exblog.jp)


高知にいながらそんなに活躍しているのに、それを特にアピールすることもなく、いつもフツーでひょうひょうとしている琴乃さん。昨日も、ごはんを食べながら淡々と話しつつ「くっくっく・・・」と終始二人で笑っていた。


身構えていないところが、いつ会っても好き。

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(画像出典http://kotono1218.exblog.jp)


展覧会で全国に遠征する時に、いろんな作家さんたちと出会える楽しみとか、クラフト作家さんの悩み、3人お子さんがいる中で家事と作品作りをどんなリズムでやってるのかなどいろんなお話をきいた。


すごろくみたいな、休符のあるリズム

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(画像出典http://kotono1218.exblog.jp)


話してると、わたしと琴乃さんには共通していることが沢山見つかって、なんだか笑えた。


遠征は楽しいけど同時に体は疲れて、白い服しか持ってないのに鼻血が出て困った話とか・・・(笑)遠征後は疲れて1日ゆっくり休まないと、通常のリズムに戻れないところも、同じ。


 早くゴールまでつるつるっといければいいのに、2歩出れば1歩休憩しないといけない「すごろく」的なリズムなんだよね。休符をとりながら、また余白を持って生み出すもの。

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10月31日まで、ネニルさん全店(湘南店 横浜店 おおたかの森店 幕張店 立川店 新所沢店 )でブローチ展を開催中↑(画像出典http://kotono1218.exblog.jp)


 意外と恥ずかしがり屋なところも共通。初対面の大多数の人の前で話さないといけない時は、実はもじもじしながらカタコトの言葉を絞り出してるんだけど、それが逆にクールに見られたりとか(笑)


周りのすごい作家さんたちは、なにからなにまでスマートにできるのに、わたしときたら・・・みたいなところも、すごく似てるなあと思った。


細い体のひょうひょうとした物腰から出てくるエネルギー

 
 
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琴乃さんは、細いし体は強靭ではない。だけど、月に全国で展覧会5回くらいできるっていうのは、かなり多作だと思うし、その上妥協もないタイプ。いつも、今までと同じものを作るというよりも、一段高いものを作っていこうとしている。だからこそ次々とオファーが来るんだろう。


 ただ、その細い体の、ひょうひょうとした物腰の、どっからそんなエネルギーが出てるんだろうというのが不思議で。これ、わたしもよく言われていたことなので、言ってくれた人の気持ちがやっと分かるような気がした。


この間も、講座が終わったあとに、四国でエネルギッシュな事業をしている女性が声をかけてくれて「文章だけではわからなかったんですけど、ケイコさんみたいにきゃしゃで小さな方が、これだけパワフルなことをしてらっしゃると思うと、わたしももっともっとできる!と思えました。なんか元気がでました!」と言ってくれた。


 たしかに。わたしももともとそんなに体が強くない方なので、普通以上の体力の人は、もっともっとできると思う。


でも、そんな風に言ってもらえたのはすごく嬉しかった。


弱いからこそ、人を元気付けられることもあるんだなって。


随筆家 岡部伊都子さんのチャーミングで繊細な強さ


 
そんなことを考えているうちに、随筆家の故・岡部伊都子さんのことを思い出した。

岡部伊都子集〈2〉暮しのこころ
岡部 伊都子
岩波書店
1996-05-08


 大学時代に京都でお世話になっていた出版社にはよく岡部さんが来てお話を聞かせて下さった。もうすでにお年を召されていたのだけど、いつまでも美しく、眼がきらきらして眩しい女性で。


岡部さんはもともと体が弱くて病気がち。とてもはかなげなんだけど、生涯でものすごい量の著作を遺された。


いつもお話をしてくださる時にはエネルギーに溢れていて、特に戦死した婚約者のお話は何度聞いても言葉にふるえるような実感があった。訪ねれば心からもてなしてくださったり、私たちが結婚する際にはお祝いにと著作を下さったりと、どんな人も大切にされていた。


よろめきながらもパワフルで、意外と肉がお好きだったりして、寺町のカニ道楽から出てきた岡部さんとお手伝いさんにばったり出会った時には恥ずかしそうに「うふふ」と笑顔をくれた。すごくチャーミング。


 大木ではないけれど、竹のようにしなりながら、折れない。繊細な強さを感じた。


弱いからこそ人を励ませる部分がある



「体をもっと鍛えて、もっと強靭に、そしてたくさん生産し行動するのだ!」というのが一般的だとすると、時々比較して心細い気分になることがある。頑張ってみるけど、どれだけ鍛えても、たぶんそこまで強靭になることは望めなさそう。体力勝負では完全に負ける。


 だからある程度諦めて、体が弱くてもまわる仕事の仕組みを整えることに重きをおいたり、自分が網羅できないところを助けてもらえるチームを作ったりに精を出そうとは心がけるしかない。


そんな中で、琴乃さんや岡部さんのことを思い出すと「ああそうだ。少し弱くても、弱いなりの体との付き合い方があり、ものを生み出していくやり方があり、身構えてないからこその魅力もある。それでいいんだなあ」と思えて、ラクになった。


わたしは、わたしなりのやり方で。弱いなら、弱さと付き合うやり方で、この世にいいものを、パワフルに生み出していきたい。

針金とペンチだけでどこでも暮らせるようになりたい


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琴乃さんの「巡回二人展 幻影」2015年10月3日〜17日まで SPICA 大分で開催中です↑(画像出典http://kotono1218.exblog.jp)
 
 
あ、そうそう。琴乃さんとわたしの共通点はもう一つある。


 将来的には琴乃さんは「針金とペンチだけでどこでも暮らせるようになりたい」


 わたしは「ペンと紙だけでどこでも暮らせるようになりたい」


 自分の未来にワクを作らないところも似てる。


きっと、ふたりとも人生が続く限りは、変化しながら、好きなところでなにかを作り続けていくんだろうね。強靭ではないくせに、野望は大きい。


 いい時間を、ありがとう。


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