「貸さない」をどう解決するか?

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 豊田市で講演させていただいた前日に、山の方の「あさひ」地域を視察させていただいた。おいでん・さんそんセンターの所長さんにもお聞きしたのだけど、今移住において一番ネックになっているのは空き家不足。たくさんの移住希望者はいるものの、住まいが足らなくて渋滞中。(187世帯に対して登録物件8軒!)
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 空き家自体はたくさんあるのに、貸してくれないという問題が大きい。「貸さない」をどう解決するか?がとても重要になっているのだそう。どこの町も同じだなあ。

空き家交渉の達人あらわる

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そんな中で、豊田市東萩平町の安藤さんにお会いした。安藤さんは地元の方で、「空き家交渉の達人」ずいぶん前から危機感を持って、その問題に取り組んでこられたんだそう。

今回、お話をうかがって、わたしの中でかなり響いたポイントは、これ。


わたし「 空き家の交渉において大切なのは、その土地での信頼ですか?」
安藤さん「いや、信頼よりも気構えが大事です」


気構えかあ。 安藤さんいわく「他の地域に交渉に行ったとしても、通じる方法」があるとのこと。わたしの中には「地元にゆかりある信頼のあつい人が交渉してやっと貸してくれる」というイメージがあったのだけど、そうではなくてもうちょっと論理的に組み立てられる部分があるのか!それなら、他の地域でも適用しやすくていいじゃない、と思った。
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安藤さんいわく、交渉に大事なのはこのふたつ。


1、諦めないこと。
2、家主さんの心に寄り添いながら、貸せない理由を全部クリアすること。
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1、諦めないこと。

とにかく相手をオトす機会を諦めないこと。なんだか恋愛のようですが・・・(*'-'*)例えば、定期的に3ヶ月に一度〜と通う。そして、長期的なスパンでとらえること。短くて貸してもらえるまで2年、長くて7〜10年(!)

 
ポイントは、はじめて行く際にはその方の趣味や付き合いを調べ、ご親戚や友人に「こんどこんな人がいくから」と 必ず一言紹介してもらうこと。


何度も通ううちにお話しして理解を得ていくとともに、最初は70代だった家主さんが80代になり「さすがにもう維持できない」という状況の変化も起こるそう。そういうタイミングで貸してもらえるようになる。
 

2、家主さんの心に寄り添いながら、貸せない理由を全部クリアすること。

「仏壇が〜」「親戚の了解が〜」など色々な理由が出てくるもの。そのときに「仏壇があるといかんの?」「じゃあ、ご親戚に一緒に話しに行きましょう」と、ひとつひとつ解決していく。すると、最終的に断れなくなるそう。(というか、断る理由がなくなる)


 「ご先祖様が〜」と言ったところで、やっぱり空き家はそのまま放置すれば朽ちるだけ。そして朽ちたものを残して死ねば、子孫の負担になる。そんな言い難いことも家主さんとクリアに話すことで「この方が筋が通るよね」という方向へ進む。


また、ここでは「公共的な目的のために」「地域から要望があって」ということを付け加えることがポイント。その方が家主さんが親戚に顔が立ちやすく納得してもらいやすいとのこと。

先送りにしないことをお手伝いする

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みんなの中にある「後回しにして先送りにしたい気持ち」が、空き家問題の本質にはあるように感じている。そんな中、安藤さんのように言い難い、うやむやになりがちなことに真摯に突っ込んでいき、そのプロセスを丁寧にお手伝いすること。これ、めっちゃ大事だなと思った。もちろん、その「言い方」「接し方」にもコツはあると思うので、習ってみたい。


 結局そうして、家主さんにとっては「長年、喉につっかえてた気持ちの悪い小骨」のような空き家問題が解決し、移住者は喜び、子どもが集落に増え・・・そういう現実を見たとき、変化は促進されてゆく。


安藤さんは、移住者が空き家で暮らしはじめたあとも、定期的にその人の近況・情報を家主さんにお伝えしているそう。そこらへんのフォローもすごい。


自分からやる個人がいる町は大丈夫


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とにかく、安藤さんは自分でできることを徹底してやられている。薪つくり研究会にしろ、ガキ大将養成講座にしろ、ツリーハウスにしろ。この地域にはそういった人が何人もいらっしゃって、元気な印象を受けた。

安藤さんいわく、

1、自分ができる行動は自分がやる
2、それが自分だけでできない時には行政と共同してやる
3、それでもできない時には行政にやってもらう

この姿勢が大事だとのこと。


全国のいろいろな地域を訪れると、このような個人が「誰かがやってくれるのを待たずに、どんどんコトを起こしていくこと」によって「そこから生まれ出ていく何か」「集う人たちによって起こっていくことがら」が生まれ、地域が息を吹き返す様子を見る。


学ばせてもらうことがたくさんあった、とてもすてきな機会。達人の講座を全国でも共有したいですね。安藤さん、そしてコーディネートしてくださった坂本さん、ありがとうございました。 

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