自然のすきま


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朝早く目覚めるので散歩する。
見る景色は、まいにち変わる。


空、模様、草、花、音、月。
カナカナカナーって虫がないている音、朝もやがかかった道を歩いてると、昨日までは満開だったねむの花が少しずつ散っている。沢のあたりには、白い花が咲き始めている。


この時間にしかない光というか、空気感があり、刻々と変わったあと昼間にはおっきな入道雲が出ると思うと、同じ山とは思えない。


この景色はまいにち見ていても、飽きることがない。
ここに来るまではいろんな場所に住むのが好きで、一年ごとに引っ越しては景色を変えてきた。この山は9年目になるけれど、ここまで同じ場所で景色に飽きなかったことがない。


なんでだろ?


以前お寺に住んだこともあり、そのお庭は見事なものだった。季節ごとに咲くお花や木々の配置に「うわあ・・・この順番で、これが咲くんだ。すごい!」といつもハッとさせられてきた。時間軸も含めて考えつくされ、完成された美しさがあった。


今暮らしている山は、そういう完成されたものはない。
ただただ自然が広がっていて、ここには人の思惑を超えた「すきま」がある。


「すきま」は「余白」であり、スペースでもあるのだろう。
思った通りにならない代わりに、思った以上の変化の美しさを見せてくれる。



ギスギスじゃなくわくわくさせてくれる土地

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「すきま」があるということは、その土地の器が大きいことともつながるような気がしている。


このあいだ、移住支援NPOの対談講座に行ったとき「なんで、嶺北にはこんなに移住者が多いんでしょうね?」という話題が出た。(参考:
「移住希望者の空き家待ち問題」空き家はあるのに空き家不足「のっとられる?」イメージには「誰が住みたいと言ってるか」が突破口


観光名所でもなければ有名でもないのに、ダントツで移住者が多く、毎年増え続けている。地域の人、移住者ふくめて何か面白いことが起きていきそうな不思議な活気もある。


生活がしやすい、意外と便利、子育てに向いている、いろんな理由が思いあたるけど、実はポイントになっている要素として「地域の課題を隠さずに、むしろ表現する」というスタンスがあるからじゃないか?という話になった。


課題フェチはこの世にいっぱいいる

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ふつう「移住してほしい」と思うと、良い面や特典ばかりを強調して、地域の抱える課題や、不便なところなどはできるだけ隠そうとしがちだ。だけど、移住支援NPOれいほく田舎暮らしネットワークでは反対に「その課題を表現する」という。


「うちは、こういうところに困っていて、こういうことができないです。だからできる仲間を探してます。一緒に地域を作っていきませんか?」


「課題フェチ」という人は実はこの世にいっぱいいる。逆境だからこそ燃える、クリアしていきたいと思うとワクワクする。(わたしも完全にそのタイプだと思う)


今まで来た移住者の方にもそういう性質の方は多く、自分が取り組みたいと思う課題への活動や、仕事作りなどをして相乗効果を上げてきた。その積み重ねで、今があると思う。(参考:



最近移住してきたイケダハヤトさんも「この地域にある課題・・・教育、災害、いろんなことをどうにかしたい、だからこそここに住みたいと思った」とおっしゃっていた。


課題を、ギスギス感なくワクワク感じさせる土地には「すきま」がある。
自分が入ったらこういうことができるかもって思わせてくれるスペース。
実際ひとりが動けば変わるもので、小さいからこそ町ぐるみでの変化は早いところがある。


ひとりのカリスマがいるわけではないので、逆に入りやすいのかもしれない。ひとりひとりの作り上げる価値を、そのままに受け止めらる。上下じゃなくて、一緒に地域を作っていくクルーが増えていくような感じ。完成されることはなく、課題はつきないから、まだまだいっぱい人が入れる余裕がある。

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負の側面だと思っていたものは、表現によってここまで変わる。


「すきま」があるから、人が関われるスペースがある。
想定内におさまらないから、思ってもみない変化を魅せる。
その景色の美しさがどんな風にこれからも展開していくのか、飽きずに見ていたい。

きっと、それはどんな土地にもある。あなたの場所でも掘り起こされるのを待っているよ。


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■著作エッセイ漫画
山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~
山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~ [コミック]










■私がオーナーをしている、自然派菓子工房「ぽっちり堂」
山の素材で手作りした優しいお菓子ギフト・内祝い