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■カフェはゆるふわじゃない。


週刊モーニング 2015年 5/28 号 [雑誌]









最近、この雑誌モーニングの連載漫画「インベスターZ・三田紀房氏著」(上の号)で、個人の喫茶店経営についてかかれていました。「ドラゴン桜」で有名な漫画家さんですが、今回は高校の「投資部」という舞台設定が面白いですね~。これは、女子高校生が、母親がパートを全部やめて喫茶店を始めるというので心配し、引き継いでもらう予定の喫茶店オーナーに経営の話を聴きにいくという回です↓私も、山カフェをしていたので「ほんと、そうだよな~」と共感するところが沢山ありました。

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(出典 モーニング5/28インベスターZより)

カフェって、ゆるふわっぽく思われがちです。「田舎で起業したいんです」という方の夢をきいてみると、かなりの確立で「将来カフェをしたい」という方もいらっしゃいます。ちなみに、私達もそうでした^^車で市内から1時間の山奥に、わざわざお客さんが来てくださるカフェを作り、売上もそれなりに上がって何とかやっていけていたのですが、2014年の夏に、執筆に専念するためカフェのみ休業。通販は継続しています。(参考記事→

カフェは、うまくできればすごく面白い商売です。素晴らしい場です。でも、カフェって「はじめやすいから誰もがしたいと思う商売だけど、続けるのが難しくてどんどんやめていく商売でもある」んですよね。
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私の場合は「なんでカフェやめたの?」とたずねられたとき「執筆に専念したいから」というのがストレートな答えですが、色んな理由の一つにはやっぱり「忙しすぎるから」が大きかったですね。「忙しいことはいいことやん。もったいない」と仰る方も多いですが、ネットや通販の商売では、パソコンや機械がやってくれる部分も多いので大丈夫であっても、カフェの場合は実際に人が動いてそれを受け止めなければいけないんです。それには体力もコストもマネジメントの手間も、比例してかかってきます。この漫画では、ここから「マーケット管理」の話になっていくのですが、今日は、田舎でカフェを経営する場合のこと。私が山カフェをして実際に感じた大切なポイントを、自戒もこめつつ紹介したいと思います。

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(出典 モーニング5/28インベスターZより)


■忙しくなくても経営が成り立つ形


「スリム、シンプル、スローこの3Sが一番」とあげてらっしゃいますが、確かに極力少人数で低コスト、メニューはシンプル。あまり忙しくないこと。これ、め~っちゃ大事だと身にしみて感じます。


最初は思うんですよ。繁盛したら繁盛するだけいい、だからどんどん人に来てもらいたい。沢山の人を集客して、何となく店が回っていたらいい。だから新しいメニューを開発しようか?もっと人数をいれようか?もっと機材を導入しようか?こうやって、どんどん膨らんでいくんです。


だけど、実は売上は高くても収益が低ければ厳しくなってきますし、個人商店というのは大企業と違って沢山の資金を持っているわけではないので、ジリ貧になっていくんですよね。忙しくなくても経営が成り立つ形を探るのはとても大事なことだと思います。

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■体力と人件費

漫画の中でも、こんな一文が出てきました。(以下モーニング5/28号より引用)

オーナー「たとえばラーメン屋を始めたとする。競争を勝ち抜くために他店との差別化を図り、材料にこだわり、人件費などのコストもかけて行列のできる地域一番点を目指す。しかしその経営方針では激しいシェアの奪い合いに自分からとびこむことになる。一時はトップに立つことができたとしても消耗戦を繰り返すうちにどんどん経営は苦しくなっていく」

「特にお母さんのような中年女性は飲食店を始めるとき、料理がメインの商売はしてはいけない」


女子高生「なぜですか?」


オーナー「体力が続かないからだよ。調理をして提供する過程には相当な体力がいる。重い鍋を握ったり厨房の熱でスタミナを奪われたりするからだ。でもそれでは長く商売は続けられない。だから弁当屋や品数の多い飲食店は絶対に避けるべきだ」


確かに!カフェって自分がお客さんとして利用するぶんにはゆったりできる場所なんですが、実際やってみるとバックヤードは大忙し。かなりの体力勝負だし、機材はいっぱいいるので初期投資のコストは高い。かといってそれほど収益率がいいわけではなく、でも労働力は必須なので、大きくしていけばいくほど人件費がかかる。でも、シンプルじゃない状態を自分ひとりや家族だけでまわそうとするとあまりにも体力がいてバテる。個人商店の場合は身体が資本です。無理しすぎても続かないから、体力管理はかなり重要なポイント。
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■メニューについて。「うどん&コーヒーの店がなぜ田舎に多いのか?」


お客さんには「ランチもっと増やして」とか「メニューもっとないの」とか言われるものです。さらに、田舎の場合だと店が少ないため、一つの店に対しての要望の範囲が広いんですよね。どこからどう見ても「コーヒー専門店」ってかいてあり、「上質なケーキと自家焙煎コーヒー」に特化している店であっても、関係なく「日替わりランチないの?」「カレーないの?」「うどんないの?」「あれは?」「これは?」って、とにかく幅が広すぎる要望がやってくる。

「それ、ファミレスにいけばいいんじゃないの?」って思うんですけど「ないから求める」気持ちはすごくわかります。「コーヒー&うどんの店」っていうのは、こうやって出来ていくのか・・・というのを身を持って経験できます。

もちろんそういったお店が全部微妙というのではなく、その幅が地元の人たちに愛され、回っているお店は多々あります。オーナーさんがそれを自ら選び、成り立っているなら、田舎戦略成功のひとつの形です。ですが、例えば「移住して何らかの個性的なコンセプトを持って田舎でカフェをやりたい」という方の場合には違う。個性ありきの商売で、あまりにも幅広く要望を網羅しすぎたがために、「客層が全く絞れてない店」になってしまうことは致命的なのです。


そうやって気がついたら、何したかったのかよく分からなくなってしまうという・・・結果「お客さんがわざわざこんな田舎にまで来る魅力もなくなって、集客できなくなる」と本末転倒な状態になることは避けたいところ。また、「自分たちの作りたい世界観」が原動力になっている人の場合、ごちゃごちゃになって、その原動力まで失うことが危険なので、取り扱い注意なんです。

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■メニューは「増やして提供する労力や時間」よりも「シンプルだけど光るものをじっくり考える時間」を大事に。



また、「メニューを一つ増やす=仕入れの手間、労力、仕組み作り、マネジメントの手間、廃棄リスクがついてくる」ことを念頭におくことも大事ですね。お客さんの要望というのは、聞いたほうが良い部分もあり、大切なものではありますし、時々は新しいことにチャレンジしてみるのもいいでしょう。ですが、基本はじっくり考え、自分たちの主体性を持って、経営の仕方と照らし合わせて選び抜いたほうがいいです。要望に応え過ぎた末に「経営が成り立たなくなり、その村から良い店がなくなる」なんてことになれば、残念すぎます。


少しコストはかかりますけど、効率や原価、収益性とそのカフェの個性もふくめてメニューを考えてくれる料理家さんもいらっしゃるので、最初の段階から入ってもらって一緒に作っていくほうが、あとあと苦労するよりも得だと思います。このように、メニューというのは、それを「増やして提供する労力や時間」よりも、「シンプルだけど光るものをじっくり考える時間」に手間をかけたほうが良いものだと考えます。

■プレイヤー?経営者?自分の適正を見極める。

うちの場合は、カフェだけで売上を上げているのではなく、カフェを通して沢山の人に知ってもらい、通販のお菓子ギフトにつなげていく(世間で言われる広告宣伝費、コミュニティ育成ツール)と思って経営していたところがあります。

こんな山奥だけどそれなりに収益があり、知名度は上がってカフェ+通販でトータル的には成り立ってたわけですが、私の場合はマネジメント、体力、考えなければいけない要素の多さなど「カフェを経営することに対しての適正・モチベーション」が持てませんでした。これ、もし適正が合う人だったら、そのまま続けて経営していけたと思います。

今は、自分の本業だと思える「作家活動」と相乗効果がある「通販事業」だけを残しているため、無理がないです。「自分はプレイヤーでいたいのか、それとも経営者になりたいのか」でも展開は違ってきます。見極めが難しいし、やってみて分かることも沢山あるんですが、この「適正」はできれば早めに分かりたいものですね。

■自分が求めているサイズを見極める


お菓子工房は、生産業というものの大変さはあり、ある一定まで知名度や集客が出来ていなければ成り立たない商売ですが、シンプルな中で回してくれる信頼できるスタッフさんさえいれば、細々と続けていけそうなスタイル。私の場合は、でかけりゃいいってもんでもなくて、自分の求めるサイズで無理なく労力少なく続けたい。これは人によって全く違うので「自分の求めるものや大きさを知ること」が大事。



ぽっちり堂の場合は、今は通販に絞っているため、売上はカフェ+通販両方やってた頃よりはもちろん下がっています。ですが、コストも下がったし、シンプルになったし、収益率はカフェより高いです。最近は私のブログ作家活動にともない、注文は以前に増して沢山入ってくれ嬉しいのですが、これ以上大きく展開するつもりもないので、無理せず、広げず、限定生産の中でぼちぼちとやっていけたらと思っています。

■「カフェ自体で収益を上げる店」と、「カフェ+本業で収益を上げる店」2つの違い


↑(参考記事


また、カフェだけで収益を上げているのではなく「カフェを何らかのツールにして、本業に生かす」という商売も存在するんですよね。例えば、規模が大きい会社さんが、広告として、コミュニティ化のツールとしてカフェを運営する。確かにその存在意義は大きいと感じます。本業じゃないからこそ逆に、面白いことにチャレンジできる余裕と可能性を持ち合わせています。



経営がうまいとか、マネジメントやカフェを運営すること自体が好きとか、資金はたっぷりある方は、大きくやったとしてもそれなりの収益を出せるのかもしれませんし、何らかのコミュニティ作りのツール、広告的な媒体になってくれるかもしれません。



ですが、このスタイルを個人商店の方向性の方が真似しちゃうと、痛い目に合いますよ。資金の大きさも違うし、投資は多くてカフェだけでは稼げない、となる危険性もあるのでご注意を。これ、大企業に勤めていた人が、フリーランスになったときに、資金も知名度も違うのに同じようにやっちゃってダメになるっていうのと似てます。大手戦略か、弱者戦略かは全く違います。

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■個人店でカフェをするなら大事にしたいポイント6つ



・シンプルなメニュー
・お客さんの数はそれほどでなくても収益が出る
・コストはかけすぎない
・ひとりでも余裕を持ってまわせる効率性
・体力を考える。休みはちゃんととる
・光る存在感がある

売上が高くなっても「やる気と体力がなくなったらもう終わり」な個人商店では、お客さんも大事にするけれど「自分自身のことも大事にする」ことも、続ける上での大事な要素だと思います。特に、田舎のカフェは「そのお店だけのセンス」が遠くから人をひきつける魅力となります。その源になる自分の感性・創造性を落とさないように、すりへらない土台を作ること。

こういった面はあるものの、カフェはやっぱり素敵な商売。世界観がリアルに空間として現せるし、人とのつながりもできるし、その町の持っている良さが見える装置となる。バッチリはまれば、いいこともやりがいも、いっぱいありますよ~。


また、田舎でやるとなると人口が少ないため+αなんらかの魅力や存在感、人をひきつけるものが必要になってきます。ここは、また今度お話しようかなと思います~。

今、インベスターZは1~8巻まで出てるようですよ。投資って心理的な安定と数字に振り回されすぎない強さが求められるみたいですが、そういうころはブログ運営とも似ている気がします。

三田紀房
コルク
2013-09-20





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