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500人の村、大川村の川上さんのおうち。昨年から「さくら祭り」という自宅の山を開放した1日だけのお祭りを始められました。今日はある日、川上さんにお聞きしたお話をご紹介します。

川上さんと山のお話



「今は、みんな保護ばっかりされてるやろ。
子供の時から保護、保護、保護。
その保護から出るときが必要なんや。
それが、この地域ではできる。
地域に出て、自然の中で生きた時、
人間本来の生きる力がひらくんや。」


川上さんは、10年前、神戸で長年勤めた会社を退職され、
奥様の故郷である人口500人の大川村に移住された。

私達も移住してすぐに川上さんに出会った。
にっこり、顔をくしゃくしゃにして笑う川上さんを見て、笑顔がすごく素敵な方だなあ・・・
と、なんだかすごくホッとしたのを覚えている。


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http://oshimasampa.seesaa.net/article/394018764.html

時々お邪魔する、川上さんのお宅。そこは、山の急斜面。
お茶畑、農園、うこっけいの小屋。それらを育ててネット通販されている。
自力で山の上に丸太小屋を建て、10年前からコツコツ植えた桜が山いっぱいに咲く4月には、
盛大な「桜まつり」を開催する。


10年前、川上さんが大川村に移住された時、はじめて作った、うこっけいの鳥小屋。
出来上がりを家族で喜び、数日たったある日、大雪が降り、小屋がつぶれた。

「そのときはショックやったんやけどな~、
くそ~っ、それならまたつぶれないのを作ってやろうと思って」


川上さんは何度も改良を重ね、雪でもつぶれない小屋を作り上げていった。

昨日も、サルが畑のサクをくぐって食べ物を食い荒らし、
とうもろこしを両手に抱えて盗み取っていこうとしたので、
夫婦ふたりでサルを追い回して退治したらしい。



「畑のサクの中で、まるで運動会みたいにかけっこしたよ。
本当は退治したくないんやけどね、自然の中で生きるってことやから」

山深い大川村では、獣害もひどく、厳しい自然の中では予期せぬことがいつも起こる。

そんな中で川上さんは、「じゃあ、これからどうするか?」
そこから考え、実行していく。



「そのこと自体が生きる力の源にもなるんや~」
とっても楽しそうに、困ったことを話すのだ(!)

川上さんはキラキラした顔で、おなかの深いところから声を出して言う。
「この場所では、生きている充実感がすごいんや。」

そして、ご夫婦で笑いあう。
「ここでいると、やることがいっぱいあって、時間がなんぼあっても足りへんなあ」
そんな言葉を聞く度に、私はますます将来が明るくなり、年をとるのが楽しみになる。

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手作りの展望台(第1~3まである)に今年はこたつも登場予定。
一つ一つ、足場も自分達で作られています。
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大人は、子供にこんな言葉を言いがちだ。
「今は親や社会に保護されている中で暮らせるからいいけど、
大人になったら自分で生きていかないといけない。
社会っていうのは、甘くないんだぞ。
もっと苦しいことも辛いこともいっぱいあるんだぞ。
楽しいのは、今のうちだけだぞ」


おそらく自立を促そうと思って言っているのだが、こんな風に言われると、
保護されてない環境にいくのが怖くなってしまうし、歳をとるのがこわくなる。

また、いじめられていたり、辛い状況にある子にとっては、
「今よりもっとつらい将来が待っているの・・・?」と、希望も見失ってしまう恐れさえもある。



自分自身を振り返ってみると、年々生きるのは楽しくなるし、
「大人になることって、ほんとは面白かったんじゃない」って思う。

子供には「大人は楽しそうでうらやましいやろ~。将来楽しみにしてろよ!」と言ってあげたいところだ。



もちろん、生きる上では辛いことも、大変なこともある。
現実社会の中で、簡単にはいかない事柄を止揚していこうと格闘することもある。

ただ「自分で決め、そのぶん責任もとって、やりたいことと現実を掛け合わせていく毎日」は、
ほろ苦しさも、楽しさも含めて味わい深く、充実しているのだ。


川上さんの言うとおり、保護されなくなった時、人は逆に輝きを増すのかもしれない。
逆境にありながらも、キラキラしている大人の姿。
ただ生きるそのうしろ姿が、人の希望になる生き方。そんな風に生きたい。

川上さんの周りにはいつも若い人たちが集まり、まるで大川村のお父さん、お母さんのようだ。
私には、その理由がよく分かる。

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2015年もさくら祭が開催されます^^こんなにすごい規模のお宅開放はないかも・・・。
山の人の開墾魂を見にきてくださいね。私達もぽっちり堂で出店させていただきます。
あまりにも美しいさくら、シバ桜、春のお花たちが桃源郷状態。
山と川上さんのパワーを感じて元気になると思いますよ!
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http://www.attaka.or.jp/kanko/dtl.php?ID=5966

開催日時 2015年4月5日(日)10:00~15:00※雨天中止
開催場所 土佐郡大川村井野川268-10 
問い合わせ先 川上千代子(主催)
電話:090-7576-2288/080-5664-8865
※山を歩くので、歩きやすい恰好、お履物でお越しください。
【スケジュール】
 10:00~15:00 ※雨天中止
 11:00・・・・餅つき、餅配布
 13:00・・・・抽選会 賞品あり!
 大川村小中学校の太鼓や、その他演奏あり♪
【FOOD】
 大川村むらびと本舗(はちきん地鶏の唐揚げ)
 大川村井野川(手作りこんにゃく等)
 鳥山さんの玄米野菜ポタージュ
 レイホクファーマスカフェ(パン)
 ぽっちり堂(焼き菓子)
 徳島ラーメン三八 (その他飲食、雑貨あり)

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■私、ヒビノケイコの著書。高知の山奥で暮らしながら新しい時代のあり方を創造中。

山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~
山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~ [コミック]








■私がオーナーをしている、自然派菓子工房「ぽっちり堂」
山の素材で手作りした優しいお菓子ギフト。