その土地の色を視覚化してくれる、草木染の魅力


私が住む高知嶺北地方でも、草木染めをされている作家さんが暮らしておられます。先日、染めたものを見せていただきました。
 
きれいでしょ^^黄色の糸はざくろで、紫色はゴバイシ。
そしてブルーは藍で染められたんですって。

ビビットすぎず柔かくて気品があり、ず~っと眺めていても飽きない味わい。色の奥にまた色を発見していくような和の色。

また、季節や植物の状態、染め方によっても出る色が違う。
「土地の色」を視覚化し、味わえるのが醍醐味です。

「染司よしおか」さんでの研修で学んだこと


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大学生のころ。京都の美大に通っていた私が、最大に楽しみにしてた研修がこれでした↑京都の老舗「染司よしおか」さんにお世話になりました。

吉岡 幸雄
紫紅社
2014-06-01


この工房では、天平の時代の色彩や、源氏物語の色五十四帖をすべて植物染料によって再現。
日本古来の染色法による古代色の復元、東大寺等
の伝統行事、国文学、国宝修復など幅広い分野への貢献をされている、日本を代表する工房です。

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そこで草木染に慣れ親しんだ私は、その後もよく、家のまわりやキッチンににあるもので草木染めをするように。例えば、番茶、コーヒー、紅茶でもすてきな色が染まるんですよ~^^

家の周りにあるものでいえば、例えばクチナシとか・・・
(これはうちの山にあるもの。鮮やかな黄色に染まります)
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例えば、栗とか・・・
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セイタカアワダチソウやよもぎ、杉の皮でも染めたことがあります。
それぞれの植物がどんな色や表情を見せてくれるか、すごく楽しい。

山のおばあちゃんに聞けば「昔は蚕を買って絹糸を作ってたよ」という話しもあり、ひいばあちゃんが染め織した着物が今でも残っていたり・・・・と、いかに日本の伝統工芸、美術が「暮らしや自然と密着したものだったか」実感します。

「ただ続けるだけでは残せない」伝統工芸が現代でも生きる道


よしおかさんに行かせて頂いていて、もう一つすごく勉強になったことがあります。それは「伝統工芸はどうやって残していけるのか?」について。
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今、存続や継承の危機に直面している地域の伝統工芸が沢山ありますよね。そんな中で、吉岡幸雄先生の活動の経緯が、とても興味深いものなんです↓

生家の「染司よしおか」五代目継承を嫌い、ジャーナリストを志望し、昭和四十二年、早稲田大学第一文学部文芸学科に入学。しかし、卒業後、父や伯父らの傍らにいて見てきた日本の美術工芸への興味、さらには京都の重層な伝統への関心は断ち切りがたく、昭和四十八年、自らが代表となり、美術工芸図書出版「紫紅社」を設立。社名に日本古来の代表色といえる紫と紅を配したことは、氏の活動の源泉をあらわしていることはいうまでもない。
紫紅社で、豪華本『琳派』(全五巻)、『根来』『正倉院裂と飛鳥天平の染織』『狂言の装束』『日本の髪型』など七十冊 (平成十二年四月現在) におよぶ出版活動を行ない、さらに『日本の意匠』(全十六巻、京都書院刊)、『日本の染織』(全二十巻、京都書院刊) の編集長として、伝統美の集大成を編む。また、電通や朝日新聞社の委嘱を受け、コマーシャル制作や編集制作、美術展覧会の催事企画なども行なう。

そのまま、出版、広告、催事の世界でその才を生かすと思われたが、生家に戻ることを決心、昭和六十三年、「染司よしおか」五代目当主を嗣ぎ、染師福田伝士と二人三脚で植物染による日本の伝統色の再現に取り組む。
■以上出典http://www.sachio-yoshioka.com/about/profile.html


こんな感じで、吉岡先生が看板となりされてきた活動がそのままブランディング・マーケティング・営業など経営の重要なところを押さえている。それを確かな技術を持ち、研究を重ねてこられた染師さんたちが支えられている。さらに、若いスタッフの方もいて、洗練されたデザインや復元作業をし、新しい風も吹いていました。


伝統工芸を続けていくということは、残念ながら「ただもくもくと職人仕事をする」だけでは到底難しい。経営も成り立たないと、続けることはできない

だからこそ、よしおかさんではこれだけ素晴らしい物が後世に残していけるんだなあ・・・と強く感じました。


常にその時代時代に合わせてやり方も、価値もアップデートするからこそ、継承が可能になる。


これは、「いいことだからできるのではなく、それを実現するために今の時代の方法を考えなければいけない」社会活動やNPO活動、地域での暮らしや仕事作りに通じると思います。

「昔の標本」みたいにならずに「現在進行形で、生き生きと変化していく」工芸の体制


この間、信州から「竹細工の伝統工芸を引き継ぐ」というミッションで地域おこし協力隊をされている若者がうちに来てくれました。これ、地元の竹やぶで竹を育て、選んで刈り取るところから作っていくそう。そこへは男性しか入ってはいけない、など掟もあるんですって。

「伝統工芸を継承する」=「ただワザを身に付けたらOK~」ではない。彼一人で抱えさせるのではなく、もっともっと広いネットワークを組むほうが良い展開が生まれる気がしました。


美術や経営などで、地域という現場が欲しい人・協力者を結びつけるプラットホームができたらいいなあなんて思ったり。今、こんな風に考えあぐねてる人は全国に沢山いるんじゃないかな。なんかいい事例やヒント、アイデアがあったら教えて下さいね(*^・ェ・)ノ


・・・と、伝統工芸の継承には色んな問題が絡んできますが、日本の伝統工芸は、その地域の自然や暮らしのイトナミと結びついているところが本当に素晴らしい。


「昔の標本」みたいにならずに「現在進行形で、生き生きと変化していく」工芸の体制を生み出せたらいいな・・・・そう願いながら、今日も山を楽しみます。
■(関連動画。これも面白い展開⇒)

虹色どろぼう―染司よしおかの植物染
エルマー・ヴァインマイヤー
紫紅社
2002-08-01


日本の色辞典
吉岡 幸雄
紫紅社
2000-06-01



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講演(移住支援、地域活性化、キャリア授業)や田舎へのスタディツアーも行っています。
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■私、ヒビノケイコの著書。高知の山奥で暮らしながら新しい時代のあり方を創造中。

山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~
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