移住支援NPOれいほく田舎暮らしネットワークの考えるコミュニティ作り4つのポイント。


前の記事で報告したイベント「れいほく田舎暮らしカフェhttp://hibinokeiko.blog.jp/archives/19152271.html
そこで感じたことはコミュニティ作りの大切さ。 

れいほく田舎暮らしネットワークは、嶺北地域へのUIターン者と地元有志が中心となりH19年結成。

ここ三年間の移住件数(人数)は、
平成24年33件(54名)
平成25年64件(87名)
平成26年(9月現在) 34件(45名)

特にこれといって有名でもない嶺北地方への移住がこんなに多いこと、
子育て世帯の移住が多いのが特徴です。
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↑嶺北地方は4か町村でできています。行政区分を超えてつながりながら活動しています。


今回は高知県嶺北地域の移住支援NPO「れいほく田舎暮らしネットワーク」が考える、地域活性化や移住支援に大切なコミュニティ作りについてお話したいと思います。


1、お客様扱いはしていません。
同じ方向を向いて歩む仲間(コミュニティメンバー)を増やすことを目指しています。

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移住は人生の大きな決断だからこそ、最終的には「その人が覚悟と責任を持ち合わせて選択する」ということが大事。自分の人生を自分で切り開く姿勢が大事。


自分の価値観やライフスタイルを模索した結果、田舎で暮らすという結論を出す人もいれば、都会で暮らしながら地方とつながる方もいる。


そうやって積極的に自分の人生に向き合っている人はパフォーマンスが高いもの。
そんな人同士が都会と田舎を超えてつながり、うっすらと見えている理想の世界に向けともに歩んでいく。


お客様扱いでは、そんな流れは生まれません。「何を与えてくれるの?」と聞かれるだけ。
だからこそ、離れていても「自分は何ができるかな?」と与え合え、ともに歩む仲間を持つことが需要。

そのためには「信頼関係を築いてゆく」という意識を持ち、行動をすることが大事だと思っています。


2、地域の心族をつくるオープンコミュニティ。
私たちは「人口を増やす」という目的だけで移住支援はしていません。
都会と田舎を信頼でつなぐ相互扶助関係を目指しています。

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「れいほく田舎暮らしカフェ」は、県主催の移住相談会のように「もうすでにガッツリ移住したい人」のみが対象というわけではありません。移住相談会も大切ですが、それとは違うオープンな場所を新たに作ることも大切だと思っています。


このカフェイベントは
・地域に親身になって関係してくれる人たちと出会うこと
・地域内だけでなく外にもつながりを作ること
・移住を検討し始めている人に、どこに行っても役立つ知恵をシェアすること・・・
などを目的にしているオープンな場。


「ちょっと興味がある・いつか移住してみたいな」
「嶺北や日本の地域に興味がある」
「メンバーに会いたい」「FBで見て面白そうだったから来てみた」
そんな感じで、まず来ていただいたら十分なんです。


きて下さった方も「移住のイベントと聞くと、もっとかしこまってるのかな?行きにくいなって感じがするけど、このカフェイベントはかしこまっていすぎず、誰でも楽しめてすごく居心地がいいですね」と。

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実際にこのイベントの後、嶺北を訪れている方が沢山います。今回も「また春や夏に旅で訪れます」という方、リピーターの方、「今度は本当に移住先の下見をかねて」という方も。



私たちは「人口を増やす」という目的だけで移住支援はしていません。地域に入れる数には限界があるし、それだけで地域が本当によくなるかというと、大きな課題解決の面では難しいところもあります。課題解決には限られた人々、限られた思考や方法だけでなく、もっと多様な考えと多様なスキルが必要だからです。



都会で暮らしていても地域を思ってくれる関係人口を増やすこと、
親身に思いあえる心でつながる心族を作ることで、
田舎と都会を結び相互扶助関係を持ち、強い地域を作りたいと思っています。


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田舎に、都会の人ができることは・・・

・外からの客観的な視点を知ること
・地域にとって大切な情報(課題先進地や事例の紹介、キーマンや人のつながり)
・都会で行うイベントへの支援、情報の拡散
・仕事のつながり、プロフェッショナルなスキル
などなど


都会に、田舎の人ができることは・・・

・都会にはないローカルな地域から感じるインスピレーション
・生き方の幅が増える
・実家、ふるさとみたいな安心感
・震災などいざという時に頼れる場所
・温かい人同士の心からのつながり
・実際移住したいときのあっせん
などなど。
これらは、もっともっとあるはずです。


実際に、このように都会でイベントをする時にも都会の心族たちが広めてくれます。


田舎も都会も、お互いに「あるものとないもの」がある。
まるで外付けハードディスクのように、信頼でつながっていくこと。
お互いに安心だし協力できることはたくさんあります。


暮らしている地域内だけでは補完できない多様性やスキルも、補い合える。
離れていても、それはできる。
だからこそ、こんなつながりの機会を大切にしたいと思っています。


3、都会と田舎を信頼でつなぎ、ともに育んできた結果が実際の移住希望者につながる。


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今回印象的だったのは、70人ほどのお客様のうち、移住希望者が5組ほどいらっしゃったということ。30~40代のご家族がメインでした。これって、一般的に移住相談会より高い比率なんです。


3・11の頃地震を理由に移住という時代的な流れはありましたが、今回の移住の流れは明らかに「れいほく田舎暮らしネットワークが何年もかけて活動してきた結果」でした。


移住支援を継続的にしたり、イベントをしたり、田舎ツアーをしたり、ワークショップをしたり、ネットで発信をしたり・・・地道な触れ合いを通して移住を実際に検討する方が増えているんだなあと感じました。


もちろん、移住希望者の方には移住支援員が相談にのり、現地の様子もお話し、疑問に答え、今なお相談継続中です。このうち2組はこの一ヶ月中に嶺北に下見に来られる予定。


相談会も本気な方が来られていいのですが、ある意味では、限られた移住希望者のシェアを各地で奪い合うというようなニュアンスも。それ以外にこういった場所を創造することの意義は大きいです。


4、移住は人生の大変化。
移住希望者が自分で、じっくり考え決めたほうがいいこと。

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移住は商売とも違うので、「ここに移住して下さい」「今ならこんなに特典あるよ」と売り売りにするようなことではないと思っています。誰かに押されて決めたというニュアンスだと、自分で最後まで責任を持つということが出来なくなり、移住に失敗する原因にもなります。


だから、支援側はコツコツ出来ることをし、じっくり見守る。結果をすぐに求めず、執着しないことも大事。そして年を重ねるごとにゆっくりだけど「ちゃんと自分で決めました」という人の結果が見えてくる。今回のカフェで移住希望者が続出したように、そんな時がとても嬉しいです。

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以上、私がれいほく田舎暮らしネットワークを見ていて感じる、コミュニティ作りの4つのポイントでした。

目に見えない信頼関係を紡ぐこと。それを大切に地域内・地域外での活動をしてゆくこと。
都会、田舎。どこに住んでいても同じ方向を見て歩む仲間とつながって生きてゆけることは安心、そして素敵ですね。


(関連記事)
■都会と田舎の相互扶助関係を紡ぐ、移住コミュニティカフェ大盛況→http://hibinokeiko.blog.jp/preview/edit/677d4e5a5ca3b60edda93183ef6055f9


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■幸せになるための移住を応援しています⇒NPOれいほく田舎暮らしネットワーク
移住希望の方への窓口と移住者同士、地元をつなぐネットワーク作りをしているNPO。夫が事務局長をしていますのでお気軽に。

■私、ヒビノケイコについて。
高知県の山奥で暮らしながら作家活動をしています。

こちらは新刊のエッセイ漫画。田舎の食のことも、描いてます♪

山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~ [コミック]









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