移住クライシスとは。
以前、ブログ記事で「産後クライシス」(出産をきっかけに夫婦仲が悪化する現象)ならぬ
「移住クライシス」(移住をきっかけに夫婦仲が悪化する現象)もあるということをご紹介しました。
移住者の友人たちや、
各地の移住希望者の相談にのっていても、
よく出る話題は「夫婦関係」のこと。

移住前の方にとっては、夫婦の意見が一致しないと、移住自体が難しい。
移住後も夫婦の思いがズレすぎると、一緒にやっていけない。
移住後の変化は、どれもこれも人生にとって大きいことばかり。
その波をどう超えるか!パートナーシップの問題は、移住の重要なポイントです。
今回は、移住クライシスになる原因をあるあるで紹介していきながら対策を考えていこうと思います。
移住クライシスの原因まとめ
1環境の変化を甘く見るな

まずは環境の変化。うちは高知の山で、高知といえば暖かいものと思ってやってきたら、
冬はめちゃくちゃ寒かった!雪も積もるし、古民家はすきまだらけなので都会の機密性の高い家に比べて寒い!
他にも湿気が多い、暑過ぎるなど、違う気候になれるまでは意外なストレス。
すぐに風邪をひいたり、原因不明の熱がでたり。
体が土地に馴染むまで1~2年かかる場合もあります。
体がしんどいと心にも影響があるので、ゆっくりペースでなれるまではぼちぼちと。
焦らず暮らすことが大切です。
2 職場環境、収入の変化。ど~ん!

以前とものすごく変わるものといえば職場環境と収入。
バリバリ都会で効率的に働いていた人が、田舎のローカルで小さな職場に転職すれば、いい意味でもその反対でも変化があるでしょう。
また、農業や起業なども、はじめてから結果が出るまでに時間がかかるもの。
いちいちハラハラしたり一喜一憂していては身がもたない。
・・・のですが収入がどーんと減ったり(だいたい都会の3分の1)、
環境に馴染めなかったり、
心を揺さぶられる変化が仕事に関しては沢山ですよね。
引越し資金に加え税金も、前年度を参考に決まりますのでそのギャップに苦しまないように。
必要な数値をお互いが把握しつつ、
失ったものばかりでなく得たもの(例えば家族との時間)を数え、
仕事がうまくいくまでプロセスを大切に歩んでいきましょう。
3 田舎暮らしはスローライフではない

これ、結構あるんです。
田舎暮らしといえば田畑を作って、鶏を飼って、そしてそして・・・.。゚+.(・∀・)゚+.゚
そして現実で実行したところ、休みなく働くことに。
疲れて泣きながらエサやりとかいやです。
田舎暮らしはスローライフとは程遠いのです。
都会暮らしになれた私達は、畑をするにしても、鶏を飼うにしても一つずつ。
時間的にも余裕がなくなるほど、「なんでいつも疲れてんの!」
「なんでこんなに時間がないの」と悪くなりがち。
仕事や家族との折り合いをみて、少しずつ少しずつ「これくらいなら大丈夫かな?」と手を広げていきましょう。
4 知らない土地だからこそ、周りとつながりオープンな子育てを。

子育てにおいて、身近に預かってもらえる親や親戚がいないってことは結構大変です。
田舎の地元の方たちは大家族が多くて、預かってもらえるけれど、移住者は核家族。
特にはじめての子育ては、なれない子育てでドキドキ。
病気になったときも、気になることができたときも、
ちょっと話せる相手というのがいないと、どんどん神経質になってしまうことも。
夫は外で働いているのでなかなか手伝ってもらえない、相談相手にもなってもらえない。
それがひどくなると・・・

引きこもり状態になる方もいらっしゃいます。
こんな風にならないよう
移住したらすぐに手助けを求められる相手を見つけることが大事。
例えば地域の子育てサークルや保育園(一時利用もできるところも)
近所の面倒見のいいおばちゃん、子供のいる移住者世帯や地元世帯など。
うちの近くにも、面倒見の良いおばさま(Uターン者)がいらっしゃって、
移住者の子供達をよくかわいがってくれます。
ちょっと困ったときに預かってくれたり、夏休みも見てくださったり。
移住者同士でも、そんなことをし合ってます。
夫婦だけで抱えきれないのが子育て。
抱えようとしすぎると、ギスギスして夫婦関係も子育て環境も悪くなります。
知らない土地だからこそ、周りとつながりオープンな子育てをするのがおススメ。
5 都会者と地元者。異文化に馴染むまで。

地域のお付き合い。
文化も慣習も全く違う人たちに馴染むのって、すぐにとはいかないかもしれません。
気が張るんですよね~。
夫婦ともども、分からない事だらけで気も張って、「どうしたらいいんだよ~!」て聞いてもお互い分からないため喧嘩になりがち。
そんな時は、地域のUターン者で都会からの移住者の気持ちも地元の方の気持ちもわかり、翻訳してつないでくれるような方に相談してみて。
異文化の感覚に慣れてくれば、だんだん分かってくることなので焦らずに。
6 地域の仕事が多すぎて離婚危機に

正直言って、これはかなり離婚トラブルのもと。
地域の仕事が多すぎて、残業はなくても毎晩地域の仕事でスケジュール帳がびっしり!
子育て中の妻にとっては、やっと夜になって子供を少しでもみてもらえると思ったら全然会えない・・・
なんてこともあり、負担が大きく。そして不満爆発。
これでトラぶっている方を何人もみてきました。
人口減少と共に、若者に仕事が集中しているのも一つの原因。
大切な仕事もありますが、しきたり自体をリメイクしないとこの先若者が生きにくい地域になってしまいます。
最低限必要だと感じられ参加する地域の仕事と、
参加しないでおくべきものを分け、
家庭や本業とのバランスを保つことも大事です。
7 Uターン者は嫁姑に配慮して

Uターン者の場合はこの問題が。
嫁と姑。
実家との距離感って大事なんですよね。
同居には、相性ってもんがあります。
普段の家事のやり方、子育てのやり方、全てのかかわり方。
嫁によっては、慣れない田舎の町で夫側のテリトリーにひとりぽつんと入る感覚を持つ方も。
もし同居するなら、嫁が孤独にならないよう、気配りをする必要があります。
また、「2人で暮らしていたときは、ちゃんと家事を分担してくれたのに、
実家で同居するようになってからは親に全部やってもらうようになった夫に幻滅」
「けんかした時に、姑が夫の肩を必ず持つのにも幻滅」
なんて声も聞きます。
いくら家賃が安くても、便利でも、トラブルになることもあるのでじっくりと見極めることをおススメします。
うちもそうなんですが、同居でなく近くだけど別世帯にしておくほうが上手くいく場合も多いです。
■移住クライシス、4つの対策とは?
私も自分自身が移住者で、まだまだ夫とのパートナーシップをどう作っていけばいいのか?ベストな方法は出ていません。ですが、今までの経験をもとに考え付くままご紹介したいと思います。

移住してから、お互いに「話したい」と心では思っていも、
変化に翻弄されて心がいっぱい、余裕なしの場合が多いです。
「こんなに私やっているのに」
「何でわかってくれないの」
「ただ話を聞いて欲しいだけなのに、アドバイスがむかつく」
「ありがとうってひとこと言ってほしいだけ」
こんな思いでお互いがすれ違うことに。
そんな時は、これを思い出してみましょう。
■5つの対策
1、相手でなく自分の心に聞いてみる

相手に求めてばかりいる時、実は自分も疲れます。
求めたって埋まるものがないならば自分の方に心を向けてみましょう。
「自分ができることって何かな?」
「どうしたいのかな?」
怒りの奥には、必ず願いがある。
その願いに素直に心を傾けてみる。そして自分が実行できることをする。
自分の心もラクに、実際に環境もよくなり、
そんなあなたを見て旦那さんもいい感じで話しかけてきてくれるように。
2、第三者とつながる。

移住した土地では、夫婦2人だけで問題を抱えたままひきこもってしまうのが危ない。
だから、普段から第三者の存在を大事にしましょう。
くだらないことから悩みまでしゃべれる女子会、移住者同士のネットワーク、
子育てネットワーク、地元の人とのつながり、サークル活動などなど。
血縁がなくても、実際に助け合えるコミュニティを作ってしまいましょう。

■3、意見が違っても聞く(傾聴する)
夫婦それぞれに意見が違うことは当然あります。
よっぽどのことでない限りそこで分裂せず、存在でつながってしまいましょう。
余裕がないとき、裁いたりせずにじっくり最後まで聞いてくれる存在に救われ、
信頼関係が深まります。
■4、夫婦のワークショップ

うちでは、年に3回ほど夫婦でワークショップをします。
お互いの、したいこと。できること。求められていること。
を付箋に1000個ほど書き出し、その三つが重なるところを探します。
そして、目指したい生活や仕事のことを冷静に話し合います。
いつもは感情的になりやすい話題でも、付箋に描くことでニュートラルにとらえられ、
建設的に話が進められます。
時にはこういうやり方で2人の人生や日常生活を整理確認してみるのもいいですよ。
特に、自営業者や2人で一緒に会社をしている方には好評です。
☆ポイントは結婚記念日など「喧嘩はしない日」にすることです(*'-'*)
最後に。
夫婦のカタチは変わって当然。
さて、以上が移住クライシスあるあるの傾向と対策でした。
移住をきっかけに色んな波風はあるけれど、夫婦のパートナーシップをより深くしてゆけるチャンスでもあります。
今まで何となく依存し合っていた二人が、独立し合って協力していく、そんな一歩にも。
そのときそのとき、夫も妻も変わる。
カタチも変わって当然です。
すてきな移住生活と夫婦関係が持てるよう、悩みながらも一歩ずつ。
一緒に楽しんでいきましょう^^
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■私、ヒビノケイコについて。
高知県の山奥で暮らしながら作家活動をしています。
こちらは新刊のエッセイ漫画。田舎の食のことも、描いてます♪

■自然派菓子工房ぽっちり堂ネットショップ

私がオーナーをしている山のお菓子工房ぽっちり堂。
→http://www.pocchiri.com/
田舎に仕事を作るために作った、地元素材のお菓子工房。
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■全国での講演(移住支援、地域活性化、キャリア授業)や田舎へのスタディツアーも行っています。☆執筆、講演などお仕事依頼はこちらまで→info@pocchiri.com
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