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田舎の小さな駅では、特急が通る頻度が少ない。




その日、待ち合わせにちょうどいい時間に

着こうと思うと、鈍行で途中まで

行き乗り換えをする必要があった。




 「列車にのっている時間、長いなあ」


 

 

のる前までは、少しおっくうな気持ちもあったけど、

それは列車に乗っているあいだに変わった。



・・・


 


山の中、いくつものトンネルを越えて、

みどりの中を冒険みたいに進む。




ひとりきりの車掌さんは

小さな列車の先頭で

確認の声を出しながら運転をしている。




がたんごとん、ビュービュー。出発、進行!


 


本を読むすきまからそんな姿をみると

 

「誰もみていなくても、この人は毎日、

こうやって丁寧に仕事をして、列車を動かしているんだなあ」

と、じわじわ嬉しい気持ちになる。







窓から日が少しずつ暮れていくたびに、

みどりの色が深くなり、少しずつ闇に近付いていく。





ああ、いつもの特急よりよっぽど面白い風景、音、色。




ちょっと時間はかかるけど、この便で来てよかったな。




・・・



時間について「早いか遅いか」という

ものさしだけで生きていると、

逆に自分が時間に支配されることがある。





そこにある景色や人や

今をありありと感じられずに、

窮屈になっていく。




もちろん、



「どっちが、効率的か?」



という指標もあっていいけれど



どっちが、冒険できるか?

どっちが、すてきな景色に出会えるか?

どっちが、静かな時間を過ごせるか?

・・・




こんな選択肢があってもいい。



効率を考えるとAかBか、

というような世界の見方になってくるけど

時間の過ごし方やそこで出会うものを考えると、

世界が立体的になってくる。





やり過ごすこと、回すことにのっとられそうになる毎日のなかで


「この時間の中で、どれだけ豊かなものを感じられるか?」


を、自分に問いかけていきたい。



・・・




大人になっていくたびに、

気が付いたらひとつだけのものさしに

縛られていることがある。





だから、ときには

いつもと違うことを選択してみること。





いつも特急だったら鈍行で。

いつも鈍行だったら特急で。


 




その時間の中で感じるものを、

ものさしのお道具箱に加えてあげる度に、

わたしたちは、もっと自由に、

彩りよく生きられるのかもしれない。







◾️今日の質問





いつもと違う行動をしてみたとき、

「ああ、こんな選択もあるんだ」

と気がついた出来事はなんですか?




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