土を削る音が聞こえる。
静かでひんやりしたコンクリートの地面。
土くさくい砂ぼこりが空気に混じってる。
手を動かしながら、なんとなく話し出す。
木のへらで土をペチペチたたいている音。
聴いていると土がきゅっと締まっていく感覚がする。
土の湿度を落とさないように
シュッシュと水を吹きかけると、
ふわっと広がってく。
こどもを育てるように
陶器を育てる。
やがて焼かれて、
まったく違う大人みたいに
冷たくてカキーン!という
高い音を放つようになるのが、
寂しくて楽しみでもある。
こんなふうに、
誰かが何か作業しているとなりで、
何もしゃべらずにいたり
ぽつぽつ話すのが、好きだ。
高校生のとき通っていたアトリエに
学校帰りいくと
大きな大きな窓の前で
先に来た誰かがデッサンをしていて、
木炭の香りが、少しずつ崩れていく音がした。
静かに、自分もモチーフを取り出して描き始める。
・・・
友人のアトリエから外にでると月が出てた。