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高知と東京はまったく温度が違うのか、思ったより寒くて滞在中は震えてたんだけど、友達が干してくれてた布団にくるまったらあっという間にぽかぽかして、あつくなり、ニットを脱いで眠れた。

昨日まで東京にいて、画家の友達zoneさんご夫婦のお宅に泊まらせてもらっていた。踏切がカンカンなってて、東京なのにローカル感あふれる街。
夕方ごろ、近くのスーパーに行った。そうかあ、東京ではさんまが一匹のパックで売ってるんだなーと驚きつつ(高知では家族が多いので一匹のパックはあまりみかけない)商品を眺めていた。


帰って、疲れていたのでちょっと休憩させてもらってたら、zoneさんが台所で作ってるカレーのにおいがふわーんと漂ってくる。ふふふーん、と鼻歌も。


知らない街だけど好きな誰かがいることで、そこは知らない街じゃなくなるんだなと思った。


「息継ぎ長いよね」と言われてピンと来すぎた


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わたしにとって当然の暮らしは、東京に住む人の当然の暮らしとはまったく違う。滞在中にいろんな人たちとお会いしたけれど、まったく違う人たちが「こんな景色をまいにち見ているんだなあ」と感じるのが好きだ。


あっちから見たり、こっちからも見たり。

光の量はこのくらい、視覚に入ってくる情報はこれくらい、そして音はこんな音が聴こえて。

働く時間、ごはん、暮らしの送り方。楽しいこと、つらいこと。


その人の背後から同じ景色を眺められたらいいな、一日違う人の暮らしをかえっこしてみたい・・・。そんなこと考えていたら、滞在中にお会いした発酵デザイナー、小倉ヒラクさんがこんな記事を書いてくれていた。


ヒラクさんはびっくりするほどアカデミックで、検索したらものすごく膨大な知恵の中からひょいって必要な話を取り出して、わかりやすく面白い言葉で語ってくれるような方だった。


3人でシンガポール料理食べてて「ヒビノさんの文章って、息継ぎながいよね〜」って言われた瞬間、言ってる意味がわかりすぎて爆笑してしまった。ほんとにそうだなって。一緒にいた鳥井さんは、???って顔をしていたのだけれど、ヒラクさんは「息継ぎ長い」の意味をこう解説してくださった。(出典: http://hirakuogura.com/「息継ぎ長く」の大事さ%E3%80%82/)
 


ある問いからスタートし、何か
答えを出すまでの紆余曲折が味わい深い、という感じのニュアンスなのだけどね。
 


自分にしかわからない「道なかばの紆余曲折」を無駄と思うのではなく、むしろ思考プロセスの本体だと思えるマインドセットは本当に稀有なもの。迷ったり、沈黙したり、無様な振る舞いをする自分とどう向き合うのか。これは「とらえどころのない物事の本質を掴もうとする」という態度とよく似ているなと思うのよね。
 


ええとね、もっと言うと「知性的である」ということは「スタートとゴールのあいだのぱっとしない状態に意味を見いだせる」ということです。さらにそれを言い換えると「普通の人は投げ出してしまうような複雑かつ宿命的なテーマに腹を据えて向き合う度量がある」ということ。
 


なるほどね〜。すごい解説だ。これ。うん。

この思考プロセスは、もう物心ついた瞬間からあった。紆余曲折長いので、時に分かりにくく、人のペースとは違って困るので、嫌だなと思うこともあったけれど、ヒラクさんが言語化して下さったことで、やっぱり大事にしようと思ったよ。


「根性で素振り何百回!」とかいうキャリアはないけど、無意識での「息継ぎ長い思考キャリア」は生まれた時からなんで長いです!ってね。ははは。


わたしの中学〜高校時代の趣味は知らない住宅街に行って各家のデザインや庭を眺めることだった。こじんまりとしたすてきなお庭を見れば、どんな人が住んでるのかな?って想像するだけでも楽しい。そして「なぜそんな風に建てようと思ったのか?」とか「庭に植えられているものが何か?植木鉢はどんな風に置かれているか」を観察したり。

となりの家は超昭和なのに、横に金ぴかなデザイナーズ住宅を建てる人の、自分のテリトリー意識の幅、バランス感覚・・・そんな妄想をすることが楽しかった。
 

人と話すたびに「なんでこの人はこう思うんだろう?こう行動するんだろう?背景と仕組みはどうなってるんだろう?」ということを自動的に無意識で考えてる。だから、ふだんから暮らしに飽きないし、どこに行っても割と楽しめるのはラッキーかもしれない。


溶け出して、何かになるまで

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今回東京でお会いした方々はどの方も分厚さのある方ばかりだった。

隠居系に見えて実はアツい志を持つ鳥井弘文さんが提案してくださって、小倉ヒラクさんと3人で12月に対談イベントをすることに。

そして紫原(家入)明子さんにお会いできたのは良かった。明子さんはエッセイストなんだけど、いつも書かれている文字ひとつひとつが好き。はじめて会ったとは思えない感じがして、おしゃべりは続き、とても楽しいひとときだった。この人の中からあの文章が生まれてると思うと、それだけでなんか感動なんだよな・・・。


とにかく、わたしの中の情報量はいっぱいになったようで、部屋の片隅でぽつんと座ってひたすらぽけーっと放心してたら、カレー作ってたzoneさんに「け、けいこちゃんどうした??大丈夫?お風呂はいる?カレー食べる?」と心配されてしまいました。ごめんね。
 

うん、だいじょうぶだいじょうぶ。いっぱい入った何かが、体の中でじわじわ溶け出して、何かになって溢れ出る瞬間を待つのが楽しいんだよ。


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◾️紫原(家入)明子さん(このエッセイおすすめ→30歳からの処女航海。結婚と仕事、そして離婚) 

◾️zoneさん(関連記事:表現論「意味がなさそうなプロセスと無駄に見える時間から生まれる唯一の表現」絵描きのzoneさんはひとり遊び上手

◾️鳥井弘文さん(関連記事:
「TURNS冬号掲載」隠居系男子・灯台もと暮らしの鳥井弘文さんが山へ対談しに来て下さったよ

◾️小倉ヒラクさん (関連記事:
「発酵デザイナー」というミステリアスな肩書き。小倉ヒラクさんの「てまえみそのうた」がかわいい!
 



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