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最近、webメディア「灯台もと暮らし」編集長の佐野知美さんが、東京からやってきて、2日ほど滞在してくださっていた。以前から仕事などでメールのやりとりはしていたけれど、お会いするのは初めて。


佐野さんは、先日放送されたNHKの番組「人生デザインU29」で特集されていた。彼女は、編集長しながら雑誌やメディアのライターをして、さらに「編集女子」というオンラインサロンも運営している。よく笑い、魅力的な女性。番組ではバリバリ働く彼女の、家庭とのバランス、子育てへの期待と不安が描かれていて、その気持ちわかる〜!となんども共感した。

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評価と自覚のギャップ、だれでも悩みはある



その夜は初めて会ったにもかかわらず、晩御飯を食べたあと、かなりディープな内容の話が始まった。いろいろ話していたら、わたしたちの共通点は「ネクラ」そして「だいぶめんどくさい」ところだということが判明した。


人からみれば順風満帆に見えるらしいのに、悩んでたり、不安だったり、迷ってることがある。わたしは佐野さんに「え、いまこれ悩み言ってるのってヒビノさんですよね?まさかそんなこと思ってるなんてびっくりです」と驚かれ、わたしも佐野さんが「佐野さんみたいにデキるひとでも、そんな葛藤があるんだなあ・・・」と思った。


ふたりとも、自己評価が低めの入り口から変な思考回路に迷い込み、「もうわたしなんてダメ。今日から誰にも会わずに引きこもって暮らす・・・!」みたいに謎の出口にでてしまうところがある。あまりのこじらせ具合に、最後は爆笑してしまった。


人からはキラキラに見えても、誰だって苦しいこと、迷い、悩みはある。でもそれは、客観的に見ると笑えちゃうようなことなんだな・・・なんだか気が楽になった。そして、人からどれだけ評価されても、自分が納得しない限りは満足できないものなんだなと思った。

たまに立ち止まる



次の朝はごはんを一緒に食べて、畑で白菜の苗を植えた。土に触れて、下手くそなふたりで作業をする。畝を立てて、かわいい苗を土に植えて、水をかける。とっても楽しい。

終わったあと、わたしのお気に入り散歩道を案内したら、秋の景色があんまりきれいで、「ここ、すごいですね」とたちどまった。いつも写真を撮ることに気がいってしまうけれど、ちょっと眺めていたくなって、ふたりとも黙って数分たたずんでいた。


いろいろ迷うけど、たぶん、答えは焦ってみつけようとしなくていい。自分の中にあって、ある時ことん・・・と腑に落ちる。その瞬間を待つだけ。必死で走り続けてきたなら、少しだけ止まっていい時間もある。こたえなんて、なくてもいい時だってあるしね。

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自分で確かめに行って、見付けてくる。たとえそれがわざわざ、でも。



効率とか合理で考えてしまうと「あいだにあるプロセスは無駄、さっさと答え出せよ」となるかもしれない。だけど、その人のプロセスの中では抜かしちゃいけない事ってあるんだよ。


例えば、世界へ旅に出たりすることも「自分探し」と決めつけられて、「そんなの無駄だよ、目を覚まして目の前のことやれ、そんなことしなくていい」と一般的にはバカにされがち。だけど、その人にとって大事なプロセスなら、踏まないといけないとわたしは思う。


仕事だって、これが夢だと思ってやっていたことが、意外とそうでもなかったり、欲しくてたまらないものを得てみたら、そんなにうれしくなかったり。やってみないと体感できない場合もあるんだよ。で、そこからどうするか?何を大切にして、方向性を見定めてまた歩んでいくか?


何にせよ「自分で確かめに行って、こたえを見つけてくる」行為自体が重要なこと。
わざわざ、でもだ。


長いプロセスのあいだにいつも人はいる。一番やっちゃいけないことは、いまの状態だけで判断してその人を決めつけてしまうこと。勝手に残念がってしまうこと。今は今、だけどまた変わる。その都度その都度迷って、変化して、あっちいったり、こっちいったり、でも最終的にその人はちゃんと自分で決められるのだ。


相手が自分でこたえを出すことを見守れる。待てる。それが、その人に対する信頼なのかもしれない。

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帰り際「とりあえず、東京に帰ったらしっかりごはん食べて、早く寝て、という暮らしをしてみます。それだけでも何か変わるかもしれない」と佐野さんは行った。笑顔は、やって来たときより少しすっとしたように見えた。

 
 泣いたり笑ったり忙しいけれど、これからもわたしたちは七転八倒しながらちょっとずつ進んでくんだろうな。そしてそれを見守ってくれているまわりの人たち、ほんとありがとう。信じてくれているから、できる。わたしも人にとって、そんな存在になりたい。



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