自然に手にのびるもの、のびないもの



きのう、近所に住む画家の将太くんが、焼きたての陶器を持ってやってきた。彼はいつも、キャンバスに油絵という古風なスタイルをとりつつ、ポップな絵を描いて外国で発表している。 最近は陶器を作りたいと思ったらしく、陶芸の本を貸したりした。(わたしはもともと美大で陶芸専攻だった)



陶芸というのは難しいもので、そこに作為とか自我成分がたっぷり含まれていると、毎日使うことが出来なくなる。使いたくないと明確に思うというよりは、手にとらなくなる。どこかギラギラしたもの、俺をみてほしい!という声を土の奥から感じるものは、時々ならアクセントになっていいけど毎日は使えない。それが体感的にわかるのが陶芸だと思っている。


美大ではそういうものをたくさん見たし、自分も未熟だったのでたくさん作った。一時は、アレルギー値の限界にきたかのようにアタりすぎてしんどくなり、プレーンな機械的な陶器を好んで揃えていた時期さえあった。


かといって、自然むき出しでも、人の作る意味はなくなる。


わたしは、絵を描いている途中、パレットに混ざりあった絵の具に見惚れることがある。赤、青、オレンジ、いろんな色が無作為にまじりあって、はねあがって、筆ですくった線がびゅっと飛び出して・・・その景色がとても好き。


陶芸をしているときも、もしかして、わたしがいくら頑張ったところでそのへんに転がってる石ころや、地層の美しさには一生勝てないんじゃないかとさえ思った。


じゃあ、なんで作るんだろう?


土と人が同時に参加している、そういうものがみたいのだ。




将太くんの陶器は、面白かった。個性的だけど、自我成分は少なめ。存在感はあるけど、ギラギラしてないので日々の中に馴染むこともできそう。


これが初めて焼いた作品だというので、さすが表現者のする陶芸だなと思った。大学で言えば入学して飛び級で2〜3回生レベル(笑)


 彼は最初「土に絵が描きたいんです!」と言っていたので、それならプレーンで機械的なしゅっとした形、白色の土の上に絵を描くのかな?と思っていた。だけど、選んだのは手びねりという方法で、わりと個性が形に出るものだった。


絵も個性があって、形も個性があれば、かなりうねったものになるんじゃ?と密かに心配していたが(ごめん)手びねりながらギラついておらず、うまく調和させてるなと感じた。

さすが造形作家!

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将太くんは日頃から、かなりストイックに絵を描いている。毎日まいにち、あれだけ作品を作り続けられる人ってどれだけいるだろう?(しかも0→1的な創作物)美大を卒業すれば、みんな次々に絵を描くことをやめていく。


長年そうやって取り組んできたからこそ、最初からこなれていながら自然な筆の動きを土の上でもできるのだな。個性も、自分を追求し尽くして突き抜けた末に、淡く馴染んでいくものなのかもしれない。作業量の結果でもあると思った。
 

 絵付けというのも、難しいもので、陶芸作家が書く絵付けと、画家が描く絵付けは違うように感じる。陶芸作家には、どこかに「これが陶器です」という概念が存在して、その枠の中におさまる絵を描いてしまう人も多い。彼の場合は、さっと描いた筆線や、重ねたデティルを楽しむ時間がその土の上にのってる。そう感じさせる自由さがある気がした。

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土と絵が関わる




「ベースの土をまっ白にしなかったのもよかったんじゃない?」と言ったら「そうなんですよ、あえて土を使ってるからこそのムラは残したほうがいいんじゃないかって、焼いてみてから思ったんです」と言っていた。


土をただの素材としてみていないところがいい。キャンバスと変らなければ絵を描けばいいわけで、土と絵が関わって融合しているさまを生み出していくのが、すてきだなと。


初めての作品でここまで持ってきたなんて、ほんとにすごい。陶芸は特に化学的なことも理解しないと出来ないし、さらに造形も加わるので、脳回路の左も右もいる。次の作品、またその次の作品でどんなふうに発展していくのか、すごく楽しみになった。


うちのサイトでも、何かしら販売をお手伝いしていけたらなと思う。




人の中にあるものが、手のひらをたどって、この世に生まれてくる。


その人ならではの美しさはじゅうぶんに発揮されているけれど、なにかとなにかを分裂させずに、すうっと人の日々に馴染んでいくようなもの。


表現するひとりとしては、そういう作品をつくっていきたい。

生きているひとりとしては、そんな風に呼吸していたい。

そんな風に思ったひとときでした。



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