■とりあえず良い商品を作れば売れる?


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今、全国の地域では地域おこしに加え、特産品を作る流れが多数ある。

それらをみていると、こういった内部の期待を感じる。
「とりあえず良い物を作れば売れるんじゃないか」
「とりあえず、すごい特産品を作れば地域が復活するんじゃないか」


ある日突然すごいアイデアを思いつき、すごい新製品を開発する!それで町が復活・・・!
一発逆転を狙いたい気持ちはすごくよく分かる。

わたし自身、山の素材を使ったお菓子工房から起業したし、モノ作りは大好きだ。
だけど、実際自分でやってきて身にしみて感じるのは、ただ良い物を作って棚に並べても、
・集客できなければ売れない。
・相手の心に届くよう伝えられなければ売れない。


まあ、当たり前の話なんだけど、最初はほんと分かってなかったなと思う。「何を作るか」も大事だけど「誰が、どう伝えるか」ってこと。それによって周りにどれだけのコアなファンがついてくれるか?がかなり重要。これが出来てからはかなりスムーズにモノが売れていき、ありがたい。

■生活がかかってるから、成功するまで工夫できる


個人店であれば、生活がかかっている。売れなければ明日のごはんが食べられないから、とにかくどうにか売れるよう工夫する。売り方、伝え方、片っ端から結果がでるまで色々とやってみる(しかない(*・ω・)ノ)これは、厳しいようですごくまっとうな感覚を身に付けられると思う。


町単位の6次産業とか第三セクターだと、返ってくる経済打撃が個人の身を持って感じられないからか、結果が悪くても、改善する姿勢が見えにくいことが多い。それでも特産品などをきっかけに成功した地域をみていると、よっぽど想いと責任を持って、最後までやり通したキーパーソンがいるものだ。

■自分から手を上げてる人に気が付かない、スルー地域

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今地域作りで好ましいと言われているのは「住民が主体的に動き、あとで行政が協力する」というスタイルで、幸いにもわたしが暮らす地域では個人や若手が頑張ってきた結果、自然とそういう流れになっており、課題は多くてもいい感じで進んでると思う。


反対に、全国には「行政や自治体の古株達が主導になり、あとで住民へ」という図式が実情の場所も多いと聞く。「うちの町には主体的な人がいない」「誰も手をあげない」と言うんだけど、本当にそうなんだろうか?

実は「手を上げてもスルーされる」
「手を上げると何か良くないことがある」
「手を上げている人がそもそも視野に入っていない」
「自分が気に入らなければ応援しない」
など、スルー地域である可能性がある。


その結果「人を育ててこれなかった」「若手に任せて来れなかった」という状態になってるんじゃないかと・・・いい悪いは置いておいて、それが現実である地域は多数。人間関係が濃くてしがらみも多い田舎で、内部の問題を内部の人が解決するというのは相当難しいことだ。(関連記事

■報告書と実情の違い

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そういった「誰も手をあげない地域」では、特産品に関しても「個人店で自発的に特産品を作ろう」ではなく、町や第三セクターで開発しようという流れになりやすい。そのために降りる国からの予算は「とりあえず、うちの地域も申請しよう」ということに。(これは個人店規模では申請できない場合も多い)実際に有効活用され、十分に生かされているならいいと思う。ただ、そうでない場合もある。


特に、「補助金を得るスキル」に長けている地域では、予算自体は沢山持っている。コンサルとデザイナーに頼んでコンセプトを作り、すてきなパッケージの商品ができあがる。ただ、一連のものが高いレベルで出来上がったとしても、その先が問題。


残念すぎるけどよくあるのは、行政主導のため、いくらお膳立てしても「自分がやります!」という住民がいないということだ。また、内部で安定した供給ができない状態であったり、売り方に関しては考えていなかったため流通経路に困ったり、いざ販売しても集客できない。アンテナショップに置くだけで売れたとは言えない状態などなど。

「作りました」という報告書は書けるけど、実情がついてきていないということなのだろう。


■できちゃったものはしょうがない。どうやって最大限に生かすか?

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「モノ・コト・仕組み」のプランは、行政やコンサルが上手に作れても、その先があまりに薄い状況。外からみてるといくらでも「どうしてそんな無駄なことやるの?」「誰のためになってるの?」「やっぱり地方への補助金は無駄だ」と言うことはできる。確かに、本末転倒が起こってしまう仕組みにもなっている部分があるんだろう。


ただ、すでに商品は作られている。「そこからどうするか?」は別で考えないといけない。せっかく多大な費用も人手もかけて、作り上げられた商品。ここで諦めたらすべて無駄になってしまう。 周りで関わった人にとっても、せっかく丹念に作ったのに活用されていなかったら、志が腐り「まあ、地域の仕事はこれくらいでやっておけばいいんでしょ」という発想を作る原因になってしまう。


それを考えずに「この商品が悪いから~」という問題に押し込めてしまうと、またしても新しい商品を開発する・・・という見当違いなスパイラルがおこるので注意だ。

■モノ・コト・仕組みに命を吹き込める存在。伝えるというアート

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こういう問題に陥っている地域にとって必要なのは「モノ・コト・仕組み」に命を吹き込める人なんじゃないかと思う。モノを作るのもアートだけど、伝えるのもアートだ。

今は特に、モノは、どこの地域の特産品も、それなりのクオリティとこだわりがあり、最近はデザイン性もいい。だからこそ伝える際の文脈がとても大事で、人を魅きつけるツールになる。これはプレゼン能力がどう、という話を超えた「魅力を伝えられる」という意味なんだけど。(関連記事


マーケティングももちろん大事な一方で、「何を売るか」より「誰が売るか」が大事でもある。その場合は、地域自体の情報発信や内と外をつなぐコミュニティ化が重要になってくるだろう。
とにかく無用のものを有用に変える、そういう翻訳者が必要。

■媒介者を育てる。

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「うまく人を育てて来れなかった、任せてこれなかった」という地域は、脱却していくためにも、まずは「モノ・コト・仕組み」に命を吹き込み活用していける人を大切にし、任せてみてはいかがでしょう?


例えば「地域おこし協力隊」を建前上ミッションを描いて雇ったものの、内情ではうまく生かしきれていない地域では、椅子運びや草刈など、村の雑用係になってる場合も多い。それじゃあまりにもったいない。


外の目も持っていて、何かしらの思いをもって田舎に来ている彼らに、内と外をつなぐ「媒介者」の役割をしてもらうのもいいと思う。地域の重鎮はヘンに口をはさみすぎずに、失敗してもOKってくらいの覚悟と責任を引き受けて。


試さずに「事実上の失敗」を作り上げているなら、一つでも多く失敗して成功につなげていく方が、未来がひらけてくると思いますよ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜


■今日のまとめ

すでに作っちゃったものを生かす力も重要。
文脈を見出し伝えられる翻訳者・命を吹き込める媒介者を育てよう。

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■著作エッセイ漫画
山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~
山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~ [コミック]








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自然派菓子工房「ぽっちり堂」
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