私が暮らす「高知県嶺北地域」のレトロな「タオカクリーニング」3代目社長、上地正人さんインタビュー第5回。5回シリーズで掲載しています。以前の記事はこちら→(第一回目・第二回目・第三回目・第四回目)子育てや地域活動もしながらも、常に新しい発想を持って山奥で自営業を発展させておられる方との対話から、見えてくるものを感じて頂けたら。
■クリーニング屋という仕事が好き
上地:好きですね~。しわくちゃのものがキレイになる。汚れてるものがキレイになる。
これは落ちんやろうってものがキレイになっているのを見たとき、お客さんが驚いてくれるのも嬉しいです。
ヒビノ:うんうん。
上地:僕なんか、もし今の仕事が嫌いやったらたぶん辞めてサラリーマンになってる可能性が高いです。
ヒビノ:(笑)わざわざ、ここでおばあちゃんの仕事を継いでやってるって、よっぽどの思いがあるんだろうなって思ってました。
上地:その選択肢を自分でとってるから、ふいにしんどいなあと思うことはあっても、やっぱり好きだから続けられます。あと、起業するのもすごいエネルギーですけど、何代目かの事業を続けていくのもすごいエネルギーがいる。会社を続けていくって本当に難しいことなんですよね。10~20年前までCMで流れてた会社が、ふいになくなってたりする時代ですから。僕も、子供を育てあげるまではなんとか頑張って続けていきたいなって思ってます。
ヒビノ:一つのことをみんなでやるのもいいけれど、それぞれがそれぞれのアプローチで面白いと思うことをして、全体としてみれば大きな動きになってるっていうのも、一つの地域の盛り上がりとしていいと思うんですよ。
上地:そうやと思います。産業にしても、第一次産業がもともとのベースだからといって、皆がそれにとらわれることはないと思います。別に農林業にからんでなくても、今できることで色々仕事つくればいい。
ヒビノ:それ、めっちゃそう思います。今だからこそ、色んな仕事ができる可能性はある。家族食ってくくらいだったらね。とらわれなくてもいいと思う。
上地:昔は農林業系の移住者さんが多かったですけど、最近はデザイナーさんとか、パン屋さんとか、バラエティーにとんだ人が増えてきてますよね。色んなスキルをもった人たちがやってくるようになりました。それ、すごく見てて楽しいです。
ヒビノ:私も楽しいです。教えてもらえることも多いし、こういう仕事もできるんだ!って視野が広がって。
上地:そういう変化は、ここ10年で一気にかわりましたね。
ヒビノ:子供の教育的にも、いいと思うんです。ここには「仕事がこれしかない」、じゃなくて「こんなこともできるんだ」って。そして、当たり前のように感じられることも多いとは思うんですけど、この田舎に「クリーニングやさんがある」「スーパーがある」ってすごいこと。だから、上地さんがやってらっしゃることは、本当にすごいと思ってます。
■批判や嘆きより、「じゃ、これからどうするか?」を考えるからこの地域が発展する
上地:商工会青年部でも、色んな職種の方がいらっしゃいますけど、みんなそれなりにやってることが凄いなって思うんです。嶺北は、田舎の割りに、恵まれてます。商工業者が多い方なんですよ。
ヒビノ:やる気があるしね。
上地:みんなあんまり人のこと批判とかしないですしね。例えば人口も減って、この先のことを考えると嘆いてもおかしくないのに、「じゃあ、これからどうしようか?」って話になる。
ヒビノ:それすごいいいですよね。
上地:議題はなくても、とりあえず毎月みんなで集まって「どうしていく?」みたいな話や、お互いの情報交換ができるから、僕も商工会青年部の活動は続けられてるのかもしれないですね。
ヒビノ:それで実りがある、前向きな話につながるのってすごくいいですね。全国の地域の方の話を聞くことがあるんですけど、うまくいかない地域の特徴って、批判とか愚痴が多いって聞きます。しかもそこに、プライドと劣等感が+されて、建設的な話が全然できないと。それでみんな、しんどくなってやめちゃったり、出て行ったりするって。
■プライドと劣等感。客観性
上地:プライドと劣等感って、混ぜ合わせると大変なことになりますね(笑)
僕の中にもプライドと劣等感はありますけど、自分の中で割合は決めてます。
ヒビノ:え、どうやって決めるんですか(笑)?
上地:あはは。プライドは7やとしたら劣等感は3。劣等感はちょっとはもっとかんと、プライドばっかりになってもいかんかなって思って(笑)それでも、劣等感が先立ったら、何してもダメですよね。
ヒビノ:ははは。そうそう。それから、プライドも、種類がありますよね。「誇り」といういいプライドだったらいいんですけど、こじらせ系で邪魔なプライドになると困っちゃいます。
上地:だからほんと「客観的な目線を自分にもつ」ってことが大事ですよね。精神状態はある程度良くないと、人にも害を及ぼしてしまっちゃうから。時には自分を見つめながら。ですね。
ヒビノ:いや~、ほんとですね。今日はすごく面白かった!アツいところと、客観性と。
地に足をつけながら、未来も見据えて。どちらも持ち合わせながら、柔軟にチャレンジしていかれる上地さん、素敵です。お話聞かせていただいて、本当にありがとうございました。
ということで、上地さんとの対談5回シリーズはここで終わり。若者が田舎で暮らすということ。商うこと。子育て、地域との関わりなど、リアルなお話でした。何かの参考になったら嬉しいです。上地さんありがとうございました!
■第1回目→「田舎の小商い①」レトロなクリーニング屋を継承した若者「挑戦してもがいてから判断しよう」ストップをかけるタイミングは一つズラす位がちょうどいい
■第2回目→失敗の線引きは?資金の限度は?自営業に休みってあるの?高知県嶺北レトロなクリーニング店3代目「田舎の小商い②」
■第3回目→「若者の田舎暮らし、夫婦喧嘩の理由はコレ」地域をとるか、家庭をとるか?自営業とのバランスどうしてる?「田舎の小商い③」
■第4回目→移住者と地元者の関わりって実際どお?「ともだちは、ともだち」境目を持たなければ、もっと地域は発展できる「田舎の小商い④」
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■著作エッセイ漫画
山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~ [コミック]
■私がオーナーをしている、自然派菓子工房「ぽっちり堂」
山の素材で手作りした優しいお菓子ギフト。