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最近地域や創造性において「余白」とか「隙間」が大事なんじゃないかな・・・とうっすら思っていたら、この本で面白い一説に出会った。






工学者でボランティアネットワークについての論考で知られる金子郁容は、その昔、他者からの力が流れ込んでくるのに"ふさわしい場所を空けておく"ことの重要性を語った。これはボランティアをする側が、ボランティアをされる側に力をもらうという、一見逆説的な実体験によるエピソードをもとにした論考ではあるが、結果的にそこに相手とのかけがえのないつながりが生まれることに関しては、仕事をもらうという状況とも共通する点があろう。
前述した本田の言葉を借りれば、「変化への潜在的可能性、言わば存在の余白のようなもの」とも言い表せるかもしれない。その場所、余白を空けておくことが重要なのだ。



著者のアサダワタルさんは、これを仕事の「脱専門」の大切さにも置き換えていく。



"自分はこれしかできない"とか"自分はこれが専門だから"ということに固執しすぎると、他者が与えてくれる力が流れ込んでくる"隙間"が生まれない
。「自分の可能性が他人によって開かされていく」ことをもっと楽しんでいいのではなかろうか。

そう。とにかくここはひとつ、自分を使った「人体社会実験のようなものだ」と考えるようになった時に、ジメジメした"不安"は、ドキドキとふわふわを携えた"未知"へと変わっていく実感を持てたのだ。いまだ知りえぬ自分は、いまの自分ができることを軽やかに裏切り、いずれ"偽りの看板"と呼ばれるほどに、その"専門"のかたちが変えられていく可能性を示してくれる。



まちの「余白」が生むもの 


最近都会と田舎を往復するたびに思う。
「余白って大事だなあ」ということ。
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大阪で生まれ育っている間は気が付かなかったのだけど、都会は「物と情報がとにかく多い」
歩いているだけでも、かなりの情報量があっちから勝手に入ってくる。以前の記事では、都市的な情報から触発される人もいれば私のように田舎で触発される人もいることを書いた。今日は私の感覚を中心に描いていこうと思う。

くすぐられるお店と、くすぐられないお店の違い


都会で友達に「おしゃれだよ、あの店きっと好きだと思うよ」と紹介してもらったお店を見に行くことがある。確かに私の趣味に合うものがセレクトされ、たくさん置かれてある。「どれもすてきだなあ」と感心したり「へえ、こんなものもあるんだ!」と新鮮な発見を持ちながら眺めてみる。

だけど、なんだかお店によっては「全部ほしいような気がするけど、全部いらない」感じになるのだ。時にはくすぐられる店もあり、ひそかなわくわくが湧いてくる。それがある店とない店の違いってなんだろう?て思っていたんだけど、たぶんそれは「さあ、あなたが欲しいものはこれでしょ?」って「向こうから全部差し出されてる感じがする」かどうかだと思う。

こっちが何かしようとする前に、向こうからデータで読み取られて差し出される。
それはマーケティング的に言えばばっちり!なのかもしれないけど、私はそこに隙間を感じない。
ムクムクと自分のなかから湧き上がってくるものがない。 image


「余白×変化、独創性」


一方で、私がベースを置いている「田舎」はどうだろう。
田舎には「何もない」とよく言われるが、そうとも言えるしそうとも言えない。
もちろん、ないことによって不便はあるし、都会的な選択肢の少なさはある。
ただ、モノ的でない自然の中の素晴らしさ、脈々とそこで暮らしをつなげてきた山の人たちの魅力がある。
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あえて言うなら、私はその「何もない地平」みたいなものが好きだ。
「何もないから創りたくなる」「用意されてないからやろうと思う」これが内面でムクムクと湧き上がり、私を動かしていく。

つまり「隙間」があることで、こっちから手を伸ばして何かをしようとするのだ。
立場やワクやほしいものを相手に勝手に決められない余白。

そこから人間のピュアな創造性が立ち上がっていく。
自分自身が活動や、仕事や、普段の暮らしでそんな経験を何度もしており、周りの人を見ていても感じる。
この記事にも描いたけど、地域活性化っていうのは一人一人の創造性の結果であり、それができるかどうかはここに源があると思う(参考記事

「けいこさんって逆流してますね」と言われることがあるのだけど、逆流というのはいいえて妙だと思う。田舎にいると「なんだかわからないけど、光っている場」や「一見地味だけど、生き様がすごい山の鉄人」などに出会う機会がある。

この間も全国的に有名な盛り上がってきてる地域のキーマン達と話していたら「~したら~を得られるからやる」「お金がもらえるからやる」のではなくて「こんなすごい場所や人の生き様があるから、みんなに伝えたくなる」そこから仕事や活動が生み出されていく感じだね・・・というところが共通していた。

「余白×変化、独創性」そこから生まれるものは未知なのだけど、
よく分からない何かが、今後の社会の風穴を開けていくような気がする。
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ワンリーダー、ワンカリスマがいない高知県嶺北地域の「隙間」から生まれる風。ふさわしい場所を空けておく。


私が8年前から暮らしている高知県の山奥「嶺北地域」は、少しずつ地域が盛り上がってきており移住者も増えている。「全国的にネームバリューのある地域ではないのに、こういう現象が起こっているのはなぜですか?」と聞かれることがある。

その原因には例えば「お店や病院や公共機関が小さいながらもまとまっていて、生活がしやすい」とか「いい人がいる」「移住者による移住支援活動がある」とか「まちの雰囲気がおおらか」とか、いろんな要素がある。地域には、頑張っている人がいっぱいいて、それぞれが自分の暮らしや仕事、活動をしながらゆるくつながっている。(参考記事

ただ、全国の町おこしでよく出てくる有名な「ワンカリスマ」「ワンリーダー」という人物がパッと浮かばない。
やはりそういう方がいると、看板があって方向性が明確なため理解も活性化が推進されやすい。だから長年「カリスマ的な看板がない状態、これはよくないことなのかな?」と思っていたのだけど、徐々にその良さもあることに気が付いた。

つまり、地域に「余白」「隙間」がたくさん残されている状態だということなのだ。
色々な色を持つ人たちが、ひとつのカラーに染まらなくてもよく、
看板がないからこそ、その地域に入りやすく、自分なりの暮らしや活動を創っていけるんじゃないか?リーダーでなく、リーダーシップを持った個人が無数に増えていくんじゃないか?
そんな仮説が実感とともに立ち上がっていく。

「他者からの力が流れ込んでくるのに"ふさわしい場所を空けておく"」
その、通気口から個人の創造性の流れが起こり、場に風を通していく。
風と風が出会って、変化になる。そんな気がした。
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2015年4月11日(土)13〜16時「アサダワタル×川浪千鶴×ヒビノケイコのトークセッション」

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場所:
高知県須崎市まちかどギャラリー

こんなインスピレーションをくれる本の著者アサダワタルさんと、高知県立美術館の川浪千鶴さんとともに、トークセッションをします。コミュニティ難民として専門や分野を超え、社会に必要なことがらをつなぎ、自分の創造性をかけあわせ、様々な活動をしてこられたアサダワタルさん。そして美術と人をつなげてこられた川浪さんのアート視点。そこに私が加わって、どんなお話が生まれるのかな?「コミュニティ難民×アート×地域」を日常で再編集するレアな組み合わせのトークセッション。須崎の趣のあるまちかどギャラリーへ、ぜひ遠くから、近くからもお越しください。


■アサダワタルさんプロフィール
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1979年大阪生まれ。文筆・音楽・プロデュース・講師業。自称"日常編集家"。大阪市立大学法学部卒。滋賀県立大学大学院環境科学研究科博士後期課程在籍、京都精華大学ポピュラーカルチャー学部非常勤講師。滋賀大津と東京新橋にオフィス「事編kotoami」主宰。
芸術分野を中心に、福祉、地域政策、教育、出版、住宅など様々な領域を渡り歩きながら、既存のコミュニティのふつう・常識を"再編集"し、日常に埋もれている些細な行為や出来事をコンセプトとしてあぶり出す。その行為を通じて、新しいコミュニケーションの回路を創造することを生業としている。表現手法は、主に文章(言葉)、音楽、プロジェクト(場づくり)など。

著書に『住み開き 家から始めるコミュニティ』(筑摩書房)『コミュニティ難民のススメ 表現と仕事のハザマにあること』(木楽舎)『アール・ブリュット アート 日本』(平凡社、編著)『編集進化論 editするのは誰か?』『クリエイティブ・コミュニティ・デザイン』(共にフィルムアート社、共著)、および共同通信社、雑誌「ソトコト」(木楽舎)連載などがある
(出典http://kotoami.org/)

■川浪千鶴さんプロフィール
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高知県立美術館企画監兼学芸課長。福岡県立美術館学芸課長を経て、2011年7月から現職。専門は日本の戦後から現代美術、美術館教育、アートマネジメント。おもな企画展=「アートの現場・福岡」シリーズ(1998〜2009)、「菊畑茂久馬と〈物〉語るオブジェ」展(2008)、「池田龍雄 アヴァンギャルドの軌跡」展(2011)ほか 。(出典http://artscape.jp/dictionary/author/10014165_1827.html




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■私、ヒビノケイコの著書。高知の山奥で暮らしながら新しい時代のあり方を創造中。

山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~
山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~ [コミック]






■私がオーナーをしている、
自然派菓子工房「ぽっちり堂」
山の素材で手作りした優しいお菓子ギフト