料理家の中島子嶺麻(シネマ)さんと夫の洋介さんのお家。
彼らは千葉から私達の住む高知県嶺北・土佐町へと移住して二年目。




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シネマさんはマクロビオティック料理家。
お母さんはマクロ界のカリスマ・中島デコさん。

最近シネマさんは「ゆるマクロビ」の本を次々と出していて、
子育てしながらしばしば全国での料理講座へ行っている。

中島子嶺麻
家の光協会
2014-09-29






洋介さんは、デコさんの営むブラウンズフィールドのマネージャーをしていた。
(今は、畑&家作り。パートでいなか暮らしネットワークの移住支援をしてくれている。空家発掘担当)

ブラウンズフィールドは、食を中心として、自然と繋がった暮らしをしカフェ・宿泊・イベントなどを行う場所で、洋介さんもシネマさんも、農業の腕もあるし何でも自分たちで作る勢いがある。


そんな彼らが土佐町で暮らす家は、「笹の家」と呼ばれている。
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↑手つくりの流し台。

もう何年も住まれておらず、根っこから手直ししないと住めない古民家。
ここを気に入った彼らは、セルフビルドで一年かけて暮らせるようにまでした。

時々みんなでワークショップもするこれは土壁塗り。
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その暮らしは、徹底して持続可能な循環型。

洋介さんが畑で作物を育て、シネマさんが薪でお料理する。



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いつも何かが干してある、笹の家。
醤油やお味噌も作っている。

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笹の家にみんなが集まっておいしいご飯を一緒に食べる。
シネマさんは、さすが料理家だけあって体に染み渡るようなごはんを作ってくれ、
そばにいるとおいしいものが食べられる(笑)

シネマさんのお料理は、ストイック~なマクロビよりも、もう少しゆるくて華やか。
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そしてトイレは、私もはじめて見た「コンポストトイレ」。

おしっこ用便器と、うんち用便器が二つ並んでいて、
便器の下には大きなバケツが設置されている。

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水で流すのではなくお米の籾殻をかけ、
堆肥場で発酵させて、堆肥になったら畑に肥料として入れる。


洋介さんいわく「体の中に入れる食べ物だけにこだわるんじゃなくて、
出したものも循環させていくところまで大切にしたい」ということ。

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「笹の家の暮らしは、おじいちゃんやおばあちゃんが当たり前にしていた時代に戻るだけ」
と洋介さんは言うが、昔の時代をベースにしながらも彼らの新しい発想ややり方が+され、
アップデートされた暮らしのように思う。


まず暮らせるようになったので、
これからこの暮らしを一緒に体験できるような宿のオープンを目指していくとのこと。


「お金を稼ぐ暇があったら、薪を集めてるほうがいい」

笹の家にあるのは「自分経済」
経済も自給してしまう。

ある日、東京から古民家利用の事業を行う方々が視察に来られ、笹の家にも寄った。
洋介さんが暮らしと仕事について話してくれた中で、この言葉が心に残っている。

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この言葉、かなりすごい。

そうだよね、確かに「私達にとって必要な経済」=「暮らしを成り立たせること」だとすれば、
そもそも、

■自分でまかなう分(食べ物、家など必ず必要な部分)
■人と交換する分(お金や物と交換する+αの自分で作れない部分)

に分かれていたはず。

別に全ての経済をお金を稼ぐことで成り立たせなくっても、
笹の家の暮らしのように、ダイレクトに薪を運んだり、畑でごはん作って成り立たせたっていいわけだ。

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自分たちの生き方×暮らし方×働き方(経済)がつながっている在り方。


経済=暮らせればいいという本質を思い出させてくれる。

働いている瞬間が、暮らしであり、暮らしている瞬間に働いている。


何かをずっと先に求めていかなくても、
今この瞬間が自分たちの生き方を体現している。


そのぶん大変なこともあるだろうけど、
すでにほしいものを噛み締めながら、
毎日にしっかりと足をつけ歩んでいるように見える。
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田舎に移住してとてつもなく安心感があるのは、
家や食べ物など暮らしに必要なベースになるものが、
前提としてあるということ。

自分で作ろうと思えば、作れるということ。


私もそうだったけれど、田舎に移住してから、
お金で委託し、自分たちの手の及ばない範囲になっていた暮らしが、
少しずつ自分たちの手の中にす~っと戻ってくる感覚がある。


それが自分経済と呼べるものなのかもしれない。


もちろん、笹の家が手放しているものもある。


世間一般の人のように、金銭的なたくわえとか、将来に対しての保障とか、そういうもの。


手放している代わりに守られているのは、
例えば天災が来たとしても、家さえ無事であれば、
ガスや水道が止まったとしても全然生きていけそうなこと。


将来もし日本経済が衰退したとしても、変わらず暮らしを続けられそうなところ。


こんな笹の家のそばにいて感じること。

笹の家のように「自給自足で家まで作る」
ディープなスタイルでなくても、
きっと本来一人ひとりが「自分経済」の
スタイルを持っているはずだということ。



生き方は一人一人それぞれ。
経済のあり方だって、みんな一緒ではなくて一人一人の多様なあり方があると思う。


「どんな経済のあり方が自分たちの生き方に合っているのか?」
当たり前だけど、実はすり抜けて考えきれていないこと。


それをもう一度、しっかりと考えてみたいなって楽しく思わせてくれる、
笹の家の暮らしなのでした。

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中島子嶺麻さんの本。

マクロビ料理って素朴すぎておいしいのかな?って思うこともあるけれど、
シネマさんのは本当においしくて、体がすっとします。
私も時々、作ってます♪




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■私、ヒビノケイコについて。
高知県の山奥で暮らしながら作家活動をしています。